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「美味しい?」
キャロルの表情を見たルシウスが肩を震わせながら尋ねる。
キャロルは大きく何度も首を縦に振りながらまたサンドイッチにかぶりつく。
今朝までの食事が酷かったから余計に美味しく感じるのだろうか。
マグに注がれた玉ねぎのスープも玉ねぎの優しい甘さがお腹に染み渡る。
ハフハフとマグに口を付けているキャロルの横でレオンもガツガツとサンドイッチを食べている。
幸せだ。
美味しいご飯って幸せだ。
ルシウスはちょいちょい面倒臭いし腹の中は真っ黒だが料理の腕は認めねばなるまい。
旅のお供としては必需品である。
「…ご馳走様でした。」
ほうと息を吐きながら言う。
お腹がいっぱいで昼寝でもしたい気分だ。
美味しい食事というのが人間にとっていかに大切なのかを思い知らされる。
満腹になったお腹を抱えて片付けを手伝う。
もう一度荷物を背負い、4階への階段に足を進めたのだった。
4階も空振りに終わり5階に向かう。
「…今の所地下は5階までしかないんだ。
ここが空振りなら諦めるしかないね。」
ルシウスの言葉に祈る様に水晶を覗き込んだ。
「あっ、います。
何か魔物がいると出てます。」
遺跡に入って初めて水晶に魔物を表す点が表示される。
4人の間に興奮と緊張が走った。
毛玉も耳を立てどこかキリッとした顔をしている。
龍がいるのだろうか?
なるべく足音を立てないように、静かにそして足早に進む。
魔物が表示されていた通路の前に辿り着きこっそり中を覗く。
「…何もいねえぞ?」
「いやでも確かにこの辺にいると…。」
通路には生き物の気配さえない。
まさかの故障だったのか。
キャロルが眉間に皺を寄せて唸っていると付近の壁を叩いていたルシウスが微笑んだ。
「流石だねキャロル。
壁画に書かれてた通路を本当に見つけるなんて。」
ルシウスが詠唱を唱えた瞬間轟音を響かせて目の前の壁が崩れ落ちる。
砂煙の向こうには新しい道が続いていた。
「ちょっおま!
魔物がいるんだからもう少し静かにっ!」
「魔物なら目の前にいるよ。」
「…え?」
出現した道を見るが何かが襲ってくる気配はない。
キャロルとレオンは首を傾げた。
「ほら、よく見てごらん。」




