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学園国家サルビア  作者: みぎわ
2/2

固有スキルとランク戦

 2週間だけ家で過ごし妹イズミとともにサルビアへ戻ってきた主人公ケント。

 ランキングを決めるためのランク戦とは、そしてそのランク戦の勝敗を左右する固有スキルとはなんなのか!


 とは言っても、前世から引き継いでいるのは記憶だけで。力は当然のこと、体つきや顔も全く前世とは別のものだ。

 だから今世では隠す力っていう物もあまりないのだが....


 そうこう考えているうちに寮に着いた。


♦︎


 荷物を整理して寮に出ると、そこには見知った顔のやつが立っていた。



「よー、ヒューム。久しぶり。」


「おー!ケントじゃん!久しぶり!っても、二週間ぶりぐらいだけどな。」


「まぁな。」


「俺は今から景気付けがてらランク戦行くけど。ケントも行くか?」


 ーーーランク戦。それはその名の通りランキングを決める戦いだ。勝てば勝つほどランキングは上がり、負ければ下がるという単純な仕組みだ。どのように戦うかというとーー「おいケント!どうすんだ?」とりあえずポッドに向かうか。



「ああ、観戦だけしようかな。」




♦︎


 寮からヒュームと話しながら歩いていると、10分くらいでアリーナについた。ポッドはアリーナの中にある。ポッドというのは、蚕が作りだす繭のような形をしていて俺たち生徒が一つにつき一人、中に入れるくらいの大きさだ。


 その役割は、俺たちの意識を仮想空間へ飛ばすことだ。


 俺たちサルビアの生徒は入学時にそれぞれランダムに仮想空間での体、つまりはアバターが配られる。そしてその配られるアバターにはそれぞれ特徴がある。特徴と言っても外見の話ではない。外見はある程度アバターを使う人のイメージに引っ張られるから、大体の人は現実の見た目になる。


 では特徴とはなんなのか、というと。それは、固有スキルだ。固有スキルというのは例えば『一定量の炎を生み出しそれを自在に操る』スキルや、『自分が手のひらで触れた物質を自在に動かす』スキルなどがある。


 この固有スキルだけは完全にランダムで配布されるので、もらった側はもらったスキルを最大限活用する方法を探るしかない。これは言ってしまえば現実でいう『才能』に当たる部分だ。


 そして俺たちは与えられたアバターを使って戦う。ルールは特にないが、一つ挙げるとすればアバターが戦闘不能、もしくは降参宣言をしたら負けというルールだけだ。




♦︎


 ヒュームと俺はそれぞれ別のポッドに向かう。


 学生証をかざすとポッドが重苦しい音をあげながら開く。


 中には一人用の背もたれ付きソファーのようなものがある。


 背もたれに体重を預けて目を閉じる。


 息を一つ吐きそして唱える。


 「リンク、観戦。」


 そのリンクという言葉に反応してポッドは意識を現実の体から仮想空間にあるアバターへ移し始める。


 ーーー深く、深く、深く。

 どんどん自分の体が水面から海の底へ沈んで行くような感覚が全身を包み込む。


 一瞬意識が途切れる。

 ハッと気がつくと、すでに自分の体ではなくアバターに切り替わっていて、観戦席に座っている。


 仮想空間にはバトル会場がいくつもある。そしてバトル会場はドーム状になっていて。その中央にグラウンドがありその周りを席で覆っていて、ランク戦をしに来たものは中央グラウンドへ、観戦目的のものはその周りの観戦席に召喚される。



 丁度、ヒュームのランク戦が始まるところのようだ。


 スキル情報は誰でも確認できるようになっている。

 ヒュームの固有スキルは『自分の身体能力を5分ごとに1.5倍する』スキルだ。バトルが長引けば長引くほどヒュームは速力を増していき有利になる。

 対して、対戦相手の固有スキルは『相手に触れるたび身体能力を半分にする』スキル。


「このバトルはヒュームがどれだけ相手に触れられずに時間を稼ぐことができるかが鍵になってくるだろうな。」


 上空にカウントダウンが表示される。


『3』、『2』、『1』



『0』




『BATTLE START』



♦︎



ーーーー結果はヒュームの完勝だった。

 これに関しては単純に相性の問題としか言いようがない。相手からすれば5分逃げ切られれば負けが確定する戦い、最初から果敢に触れに言ったがこの二人は元の身体能力にあまり差がなかったため、追いつくことができず5分経過してしまった。元の速度ですら追いつけなかったのに身体能力が1.5倍されたヒュームに追いつけるわけもなく。そのままゆっくりと身体能力を増やされ続け、最後は一撃で決められた。



♦︎



意識が浮上していく。


目を開けるとそこは既にポッドの中で、現実の体に戻っていた。

ポッドを開けると、ヒュームが駆け寄ってくるのが見える。


「快勝!快勝!」


「あれは相手がかわいそうなレベルだったな。」


「仕方なし、これが勝負の世界よ。」


「そのドヤ顔まじでうざい。んで、ランキング上がったの?」


「変動なし。変わらずB帯だよ。やっぱもっとランキング格上とやんないと上がらないよなぁ。」


「まあ、そんなもんか。」



「んで、ケントは今日はやんないの?」


「んー。んじゃ、一戦だけやりますかね。」


「それにしても、よくケントはあの固有スキルでB帯維持できるよなぁ。大体のやつは現実通りの動きしかできなくてC帯D帯に落ちてくのに。」


「ほっとけ。まぁどんなスキルでも使いようだよ。」


「そっかー。ま、観戦してるわ。」


「りょうかい。」




♦︎



気がつくとグラウンド中央に立っていた。


「やっぱ、この姿になっちゃうんだよなぁ。」


そしてそこには現実の見た目...ではなく。前世の姿をした自分がいる。


「まぁ当たり前か。イメージに引っ張られるんだもんな。確かに戦う自分の姿は、この見た目でしか想像できねーわ。」

「相手の固有スキルは、『爆発するボールを生み出す』スキルねぇ。ま、関係ないか。」





俺の固有スキルは


ーーーーーーーーーーーーーー『思い通りに体を動かすことができる』スキルだ。

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