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地獄のようなこの世界で  作者: マーカー管理者
第1章 喪失
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【第1話】綻び

瞼を閉じても溢れてくる

温かい光

夜なのだろうか 通りの店や街灯が眩しい

程に暗い


活気に満ち 様々な会話が飛び交っている



「昨日のドラマ見たー?」



「今日はアイスを買って帰りましょ」



「おかーさんあのおもちゃほしい」



次第に光に目が慣れてきた

周りを見渡せばそこには 雲にも届くのではないかと思うぐらい高い塔

沢山の人が溢れかえっている駅


まるで決められたかのように 横断歩道の前で並ぶ人々



「東京…」



ふと心の声が漏れる

それ以外の事が思い出せない


自分の事を考えようとすると頭が痛む

それ以外なら覚えている

この街のこと この世界のこと アイスの名前から 駅の名前 国の名前


だがやはり自分の事となると何も思い出せない



「いてぇ……」



酷い頭痛と立ちくらみで つい膝をつく

眩暈がし吐き気もする

後ろを歩いていた人の足が腰に当たり痛む

何も無かったかのように立ち去っていくのを見ていると怒りが湧き上がる



「ったく 都会はこれだから 心配して声ぐらいかけてくれても罰は当たらないだろうよ」



だが今は引き止められる様な状態ではない

行き交う人を睨みつけているとショーウインドウに反射している自分の姿が見えた 短髪黒髪 背は170前後 ちょっと痩せ気味

ってかひょろひょろ

歳は……20ぐらいか?



「あの大丈夫ですか?」



「!?」



後ろからかけられた声が自分に向かってなのか分からないが 心配してもらえた それが少し嬉しくて同時に驚き咄嗟に振り返る



「あの必要なら救急車呼びますが、」



警察だ 青い制服に青い帽子

なんと頼もしいことだろう

国家権力万歳 今はそんな状況じゃないが



「ありがとうございます 大丈夫ですから、」



警察にはあまり世話になりたくない 迷惑をかけるだけだ。

それにこの状況……なんと説明すればいい

少し力を入れて立ち上がり手すりにもたれかかる。



「そうですか。 すいませんそんな時に何なのですが…あの少し署までいいでしょうか?」



(は?この警官は何を言ってるんだ そんな話の流れじゃ無かったろ)



内心苛付きを感じながらも平静を装いながら問いかける



「どうしてでしょうか?」



すると警官は少し困り顔で話はじめた



「いえ 近頃物騒な事件が多いでしょ だから頭痛で座り込んでる人には皆署まで来てもらってるんですよ」



「???」



訳が分からない いや本当に訳が分からない

なんで頭痛起こすと署に連れてかれるんだ

どう考えてもおかしい

ひょっとしてこの警官コスプレイヤーか?

と真剣に疑いそうになるがまあ常識的に考えてそれはないだろうと内心笑う


「いやいや なんで頭痛ぐらいで署まで行くんですか?」


それを聞くやいなや深刻な顔をして若干

戸惑いながらも答える



「あなた最近の記憶あります?」



あまりにストレートな質問で脈が速まり

若干声が裏返りながら答える



「いや 何も思い出せなくて…」



警官は直ぐさま無線機をとり



「少しまってて!」



怒鳴ったかと思いきや急に業務的な会話

口調になり無線機で会話をはじめた



「「本部へ こちら新宿駅前広場 コード206の発病者を発見 直ぐにそちらへ護送します送れ」」



「「こちら本部 コード206を確認 対象を早急に本部へと護送せよ 終わり」」



警官は無線機を元の胸の位置に戻しこちらに駆け寄る。



「大丈夫 安心して! 今は記憶が無くて怖いだろうけど時期に良くなるから 取り敢えず君の事をよく知っている人達の所へ連れていくね」



警官の少し焦ったような 怯えているような

早口になって険しい表情をしながら

止めてあったパトカーに引っ張られる。


頭が混乱して何がどうなってるのか全く分からない

そもそもこの警官 なんかおかしい なんか妙に動作が細かく正確だ

てか緊張してるのか?


訳の分からない 自分の事すら分からない

もう一旦落ち着いて状況を整理しよう


そんな事を思い窓ガラスから外の景色を眺める

相変わらず人が多い 勿論車も

信号が赤になったのかパトカーは止まり

大きな街頭ビジョンのある広場の前に止まる



「今入ったニュースです」



(どんだけ音量上げてんだよ 車の中まで聞こえてんぞ)

心の中で思いながらモニターを見つめる



「本日 日本時間15:36 アメリカのエンパイアステートビル屋上にて 身長2mを超える男が十字架に打ち付けてあるのを 清掃員が発見

それに対しバチカン イェルサレム アンティオキア アレクサンドリア コンスタンティノープル ローマの教会が発表

それが我らの父であり 世界の生みの親 ゼウスその人である と発言しました これで

((全世界多発的神殺し)) 12件目となりました これが事実であればギリシャ神話におけるオリュンポス十二神最後の1人の遺体となります そしてやはり現場の壁には エノク語、

天使の言語と呼ばれる文字で


「我々はこの世界の神域を制圧し神を皆殺しにした 我々は神のいない この世界へ進行を開始する」


との文字が掘られており専門家によると過去の事件現場に掘られていた文字と寸分違わぬ精度で掘られており ここまでの精度は現在の技術では不可能とのことです このニュースについて今後新たな情報が入り次第NKKにてお伝えします では次のニュースです」




「は?」

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