第十話 接見
「この怪しい奴め。大人しく死ね!」
おまっ
そこは大人しく御縄に付けってとこじゃないんかい!?
流石は戦国時代。
中の人たちの設定も、荒々しい事この上ないな。
さて、この状況をどう切り抜けようか。
俺の周囲には、弓だの槍だのを構えたおっちゃんたちがわんさか。
忍法ハリネズミを仕掛けてもいいんだが、もうちょっと派手なこととかしたいね。
火柱とか、派手かな?
考えながらも矢だの手裏剣だのが飛び交ってる。
まあ、この程度は片手間で捌ける。
どうしようかと考え続けてると、ガシャガシャと鎧音が近づいて来てることに気が付いた。
ふむん。
誰かお偉いさんが来るのかなー?
* * *
そして俺は、何故だか陣幕の中で床几に座ったお偉いさんに謁見している。
「貴様が、景通を暗殺した者で間違いないな?」
景通って確か、俺が目標にした奴のことだよな。
でもそれが誰なのかが分からん。
首を傾げる俺。
米神に青筋を浮かべる目の前のお偉いさん。
「長尾景通のことだ!貴様が下手人だと、皆が申して居るわっ」
えー。
だったら改めて聞くまでもなかろうに。
いや待て。
長尾景通だと?
長尾景通は、その姓名からしてきっと長尾景虎の一門衆だろう。
目の前のお偉いさんは、景通と呼び捨てにした。
一門衆を呼び捨てに出来る立場の人間。
Oh……
ひょっとして、目の前のお偉いさんが長尾景虎……か?
「誰に頼まれた……。言えっ!」
「長尾景虎公、」
「むっ?…なんだ。申したいことがあるなら、早く言え!」
だーいせーかーい。
まさかの御当主登場か。
周囲には力量高い輩の気配がわんさか。
それでも、俺が殺傷する方が早いとは思わんのな。
「狙いは貴公。」
「なに?」
「御命頂戴ッ!」
* * *
さて、無事に元の小山まで戻って来た。
括りつけた奴は、どうやら未だ無事のようだ。
自害はせんかったか。
「き、貴様!何をした!?」
振り返ると、長尾の軍勢が酷く慌ただしいことになってるのが見て取れる。
景通をSATUGAIし、景虎と見まえて戻って来るまで。
それはもう動揺する軍勢の動きがよく見えたことだろう。
そして奴の耳元で俺は囁く。
「アンタのせいだぞ?」
百パーセント俺のせいだけどな!
でも、動揺を誘うには言い繕いは大事。
超大事。
要するに、君が情報くれなかったから。
俺は敵陣深くに入り込み、一門や御当主に危害を加えざるを得なかったんだー。
ってね。
素晴らしい詭弁だ。
これは酷い。
だけど効果は覿面。
やっこさん、顔面蒼白になってぶるぶる震え出してやんの。
よーし、ここで止めの一撃。
「長尾景虎は手傷で済ませてやった。代わりに、一門衆の長尾景通が死んだぞ。」
いやこれ、完全悪役な発言だよな。
でも、案外楽しいかも。
「もう一度だけ言う。
越後国内の情報を寄越せ。さもなくば、次こそ長尾の当主を暗殺する。」
これは言外に、アンタが自害しても一緒だよってことを含ませてる。
長尾景虎を手傷で済ませてやったってのも、ホントかどうか確認出来ないってのにね。
全く、酷い話もあったもんだ。
「……情報を渡せば、手を引くのだな?」
「それは内容次第、だな。」
苦りきった表情の情報源(仮)
どうやら陥落するようだ。
さあそれじゃ、キリキリ吐いて貰おうかぁ!
リハビリ投稿です。
元に戻ってはいませんが、離れすぎないようにしませんと。




