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神の路

「これに、俺が・・・」


「そうだ。給料は基本給で月給30万程度は出そうとおもっている。どうかね?」


 飛行機に乗れて、月給30万ならそれなりの物だ。


 (あぶない仕事かもしれない・・・けど。)


 彼は少し迷ったが、決断した。


「やります。やらせてください。」


 そう言うと、男は笑顔満面で彼に握手してきた。


「ありがとう。では早速行こうか。」


 男がいきなり言い出した。


「え!?どこへですか?」


「私が所有する島だ。おい!飛行機を準備してくれ!!」


 男は外で待っている先ほど五十六を連れてきた男に声を掛けた。男が言ったわずか5分後には、別の格納庫から双発機が出され、エンジンが掛けられていた。


「さ、乗りたまえ。」


 唖然とする五十六を乗せ、飛行機は飛び立った。


 時刻は午前3時半だ。真っ暗闇の中、五十六を乗せた飛行機は飛んでいく。


 機内では五十六は黙っていた。というよりも、もう一人の乗客である男は飛び立った途端眠り始めてしまい、話し相手がいなかったからだ。


 夜が明ける頃には、既に飛行機は海上を飛んでいた。そして、時計の針が午前5時半を指す頃、一つの島が見えてきた。


「あれがその島だ。」


 男が窓の外を覗きながら言った。


 その島はそこまで大きくはないが、かと言って小さくもなかった。島は西側に小高い山があり、それ以外は平地のようだ。真ん中には滑走路が一本走っている。


 飛行機はその滑走路に着陸した。誘導路を進み、小さなコンクリート造りの建物の前で止まった。


「さ、降りたまえ。」


 言われるまま五十六は飛行機から降りた。そしてそのまま建物の中に案内された。


「ようこそ、歓迎するよ。そして遅ればせながら紹介させてもらおう。私の名は河口宗一だ。」


 男、河口は自己紹介すると、五十六に椅子を勧めた。


「河口さん、早速ですが、単刀直入に聞きます。一体僕の仕事は何でしょうか?そもそもあなたは一体何者なのですか?」


 五十六は今一番気になっていることを聞いた。


「ふむ。君の質問はもっともだ。では私の身分から話そう。私は表向き宝石商を営んでいる。」


「表向き?では裏で何かやっているんですか?」


 その質問に、河口は笑って答えた。


「ハハハ。まあ、裏でも宝石商だな。詳しく説明するにはあることを説明しなくてはいけない。付いてきたまえ。」


 またも五十六に促す河口。もっとも五十六には断る理由はないからついていく。


 河口は建物のから出て車に彼と共に乗り込むと、飛行場から離れ、西側にある山へと向かう。


「一体何を見せてくれるのです?」


「付けばわかる。」


 その後、5分もしないうちに山の裾野についた。そこにあったのは、大きなトンネルのように空いた穴だった。


「これは?トンネルのようですが。」


 しかし、ただのトンネルではなさそうだった。雰囲気からして何かこの世の物とは思えない物が漂っている。


「我々は神の路と呼んでいる。」


「神の路?」


 二人は車から降りるとその穴に向かった。


 近づいてみるとますます大きいのがわかる。これなら車なら入れそうだ。そして、入り口から中を覗いて五十六は気付いた。


「あれ?山の大きさに比べて随分と向こうまで延びていませんか?」


 そう言うと、河口がニヤリと笑った。


「よく気付いた。実はな、この穴は異次元に続いているんだ。」


 その言葉には、驚かずにはいられない。


「異次元!?」


 素っ頓狂な声を上げる五十六。


「そうだ。まあ、簡単には信じられんだろうがな。」


 そりゃそうだ。異次元なんてアニメや漫画の中の物だと思っていた。しかし、何故か五十六は疑う気に慣れなかった。それどころか、この穴に運命めいた物を感じてしまった。


「いや、信じますよ。」


「そうかね。まあいい。私の商売も、そして君にこれからやってもらう事も実はこの穴に関係がある。」


 そして二人は再び飛行場に戻った。そこで朝食を取る。二人一緒に朝食のパンをぱくつきながら、話を進めていく。


「それで、あの穴が異次元で繋がっているにしても、あなたの商売と俺が飛行機を操縦する事になんの関係があるんです?」


「うむ。まず、あの穴がどこに繋がっているか話さねばな。あの穴の先には異次元の旭日皇国という国に繋がっている。」


「旭日皇国?」


「そうだ。名前からしてこちらの日本に近いが、実際に国土の気候、言語等の文化はほぼ同じだ。しかし、違う所もある。まずこちらとは時間差にして100年ほど歴史が遅れている。また、島国でなく大陸の片隅にある。そして何よりも違うのは、金銀、ダイヤモンド等の地下資源が豊富な点だ。」


「じゃあ、あなたがこちらで売りさばいている宝石は!?」


 五十六はようやく相手の商売に気付いた。


「そうだ。向こうの物だ。この穴を発見して100年。我が一族はそれを生業にしてきた。だが、今現在重大な問題が発生した。」


 河口の表情が厳しくなる。


「旭日皇国が戦争状態となり、国の存続が危うくなった。」


 そこで五十六はピント来た。


「じゃあ、もしかして俺に飛行機を操縦させるのは・・・」


「そうだ。向こうで戦闘機パイロットとして戦ってもらう。」


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