008
十一歳。訓練は続いている。
今は暗殺術よりも、諜報・工作に。特に斥候技術に重点を置いて学んでいる。
やっぱり暗殺には抵抗があるし、何より俺には暗殺者としての才能が無い。
別にあってほしいとも思っていないが、二つ下に暗殺術の才能持ちがいるのでどうしても見劣りする。
自分と比べてしまう。
鮮やかな手際というのはああいうのを言うのだろう。そう思わせるほどだった。
というわけで、現在俺は斥候技術の訓練中である。
里は山の中にあるため、斥候技術の訓練場所には困らない。
簡単な目印だけの地図を持ち、地図を読みながら目印を目指して移動する。
地図に気付いたことを書き込みつつ方角・目印を見失わず進む訓練だ。
出来る限り戦闘は避けるよう言われているので潜入工作の訓練も兼ねているのかな。
あ、戦闘というのは魔獣に対してのことだ。山の中には魔獣が歩いていたり、寝ていたりするからね。
うっかり起こしたり、鉢合わせたりすると死ねるかもしれない。
ちょっと怖い訓練なのだ。
体術の訓練。
暗殺術の訓練を受けているので、受けなくても良いのだが。むしろ暗殺術の方が優先なのだが、俺は体術の訓練も受けている。
徒手格闘術。しかも、対人がメインの格闘術なので魔獣には通じないというか使いづらいというか…。
だが、ある目的のために訓練を続けている。
対人…、つまり盗賊と戦う時のことを想定している。
盗賊のアジトを襲って貯め込んだお宝でウハウハ。これである。
まぁ、実際はそんな無双状態になんてならないんだけどね。
それでも一応、自分のできることを増やすためにやっている。
魔術の訓練。
未だにドキドキし、ワクワクする魔術の訓練だ。
まぁ、魔術の訓練といっても。魔術言語を覚え、発動するかどうかを試すだけなんだけどね。
では、せっかくなので俺が使える魔術を一部だが紹介しよう…。
●ライト:固定の光の球を作る。
●ライトボール:自身と一緒に移動する光の球を作る。ライトより消費魔力が多い。
●アクア:コップ一杯分の水を作る。
●アクアボール:手桶に一杯分の水を作る。飛んでいかない。
●クリーン:浄化し、清潔にする。主に掃除に使われる。
これは生活魔術だな。生活する上で、非常に便利な魔術。
俺もよく使います。
●アースブースト:身体強化。
●ブーストマジック:次に使う魔術の威力と消費魔力を倍にする。
ブースト系。重ねがけはできない。
身体強化。これが使えないと戦士として認められないと言っていいほどだ。事実、身体強化の魔術が使えない子どもは無条件で農業・職人の部署に連れて行かれた。
●ファイアーアロー:火の矢を作り、飛ばす。刺さると燃える。
●サンダーボルト:太さ30cmくらいの雷が一直線に伸びていく。当たると感電し麻痺する場合もある。
●アイスアロー:氷の矢を作り、飛ばす。当たると凍る。10分すると溶ける。
●アースランス:指定した地面から岩の槍が突き出ててくる。飛ばない。
定番の攻撃魔術。
これ以上言うことはないくらいの定番。
●バーストボール:炎の球を作り、飛んでいく。当たると爆発する。
●チェーン:指定した地面から鎖を一本作り拘束する。
●アースアーマー:掛けた対象への物理攻撃を半減する。
●ウインドシールド:風の壁を作り、魔法や矢を防ぐ。
中級者向けの魔術。これが使えたら一人前。
俺は使える(自慢)
もちろん回復魔術もある。
●ヒーリング:外傷を癒やす。病気には効かない。
これが使える魔術士は重宝される。
里でもヒーリングが使える者は訓練生であっても特別扱い。ただし、こき使われるという意味で。
俺は使えるが、秘密にしてある。こき使われたくないから。あと、逃げる時のことを考えてね。
以上、俺が使える魔術の一部でした。
魔術はまだたくさん種類があるが、俺が使えないものばかりなので割愛する。
使うために必要な物は唯一つ。魔力。それだけだ。
魔力量さえ足りればさらに強力な、上級と呼ばれている魔術も使える。
俺は足りないから中級までになる。
あ、ヒーリングは中級から上級の間くらいで使えるようになる魔術だ。
だから俺が使えないと偽装するのは大丈夫。バレてないはずだ。