006
八歳になり、訓練中です。
やっている訓練は次の通り。
暗殺術:人を殺すための技術。各種武器の扱いと戦闘技術。
偸盗術:盗みの技術。
投毒術:暗殺・工作に必要な毒に関する知識と取り扱い方法。
変装術:暗殺・諜報・工作に必要な変装をするための技術。
催眠術:人に催眠術を掛けるための技術。どちらかというと、心理面を突いたり揺さぶったりする技術。尋問時に使う。
体術:体を頭のてっぺんから足のつま先まで、自由自在に動かせるようになるための訓練。格闘技もやる。
魔術:魔術を学び、戦闘技術として取り入れる。
色々あるんだなぁ…。
でも、変装術って意味あるんですかね? 銀髪は染めるとしても、ヴァンパイアは赤い目なんだけど…。隠せないし、ごまかせないような…。
催眠術は、受けてみた感想で言うと交渉術とか心理操作とかそんな感じだった。本当に催眠術で操ったりできるわけではないようだ。ちょっとホッとした。
そんで、暗殺術と体術っておんなじじゃないの? と、思ったんだけど。工作員として適性が無い者が必須で受ける訓練だった。そうか、利害で対立する組織とかあるだろうしね。最低限必要ってことか。
話は変わって。先日、工作員として適性が無いとされた訓練生が農業・職人の部署に連れて行かれた。
俺は普通の評価だった。
まぁ、連れて行かれただけで。そこで農作業か職人の訓練を受けるだけなんだけどね。
それでもちょっと怖いよね。
農業・職人の道かぁ…。それも良いかなあ。
殺伐とした仕事をやるよりそっちの方が良いかなあ。
あー、でも。この世界には魔獣がいるからなぁ。
うっかり魔獣に襲われたらアウトだ。
里はぐるりと木の杭で壁を作り、魔獣避けの魔術道具を設置してある。さらに警備の人がいる。
だから里は安全だ。
ただ、それでもたまに里の近くに来る魔獣がいる。
魔獣が来ると、食卓が豪華になるので実は歓迎だ。
あ、もちろん警備の人が戦うのは夜になってからだ。
昼はムリ。
さて、魔獣について触れたので次は魔獣の話。
魔獣は、人の天敵である。魔物とは言わない。
その理由は、すべて獣型または虫型だからだ。そして、有名な魔獣は獣型なので魔獣という呼び名が定着した。
人型はいない。魔獣辞典で調べても人型は載っていなかった。
人の天敵であると言ったが、一部の魔獣は飼い慣らすことに成功している。馬車ならぬ魔獣車として運搬などで活躍中だ。
そして、人の天敵という理由は非常に単純だ。魔獣は人を襲い、人を喰らう。
生存競争を現在進行形でやっている。村が襲われて、村が無くなるなんてのは数年に一度聞く話だとか。
というわけで、ある程度の武力が必要になる。
俺が農業・職人の部署に行かず、暗殺術の訓練を受けている理由がこれだ。
先々に逃げるとしても、戦えなければ魔獣のエサだ。
とりあえず、成人である十三歳までに決めようと思う。