004
六歳になった。
訓練が始まった。いやだけどしょうがないな。
最初は座学らしい。
まぁ、六歳だもんな。いきなり暗殺術とか教えられても困るよね。
座学だけど、大体は六歳までにやってきたことだったな。まぁ、俺の場合はだけど。
本読んでるのって俺くらいしかいなかったしなぁ。
まず、ヴァンパイアについて。
太陽の光を浴びると灼ける。そのまま浴び続けると灰になる。
頭か心臓が灰になると死亡する。
頭か心臓が灰になる前に人の血を吸えば再生が可能。灰になった部分も再生可能。
吸う血の量により回復の度合いが変わる。
全回復するだけの量を吸うと、人にとっては致死量となる。当然人は死ぬ。
怪我による身体の欠損・事故による身体の欠損・病気になったりして内蔵をやられても血を吸うことで再生可能。ただし、吸血は成人後から(未成年は牙が無い)。
ここは本の通りだな。まぁ、ヴァンパイアの基本だし、こんなもんだろう。
しかし、身体の欠損まで再生するなんて読んだときは化け物だ! と、思ったなぁ。
俺もそのヴァンパイアだけどな。
成人は十三歳。にょきにょきと牙が生えてくる。
成人し、吸血したヴァンパイアは人を超える筋力と体力を持つ。
未成年は人の未成年並。成人しても吸血してない場合は人並。
食事をしなくても吸血のみで生存可能。
これは完全に人の敵です。
あー、いやだいやだ。
夜を生きる場としているため、月さえあれば昼のように見える。
月の満ち欠けで力を得たり、弱体化したりはしない。
幻獣と呼ばれる魔獣の血を吸うことで上位のヴァンパイアになったという伝承がある。
太陽以外は特に弱点なし。聖属性とか十字架とか銀とかも平気。
なお、闇属性ではない。魔獣でもない。
人の血を吸うため、人からは恐れられており、一部の宗教からは敵視されている。
上位のヴァンパイアってなんだよ…。進化でもするのか。ハイヴァンパイアとかにでもなるんだろうか。
この、上位のヴァンパイアについての本は無かった。特殊工作員を養成するうちの里に無いわけはないと思うんだが。きっと閲覧許可が必要とかで別の場所にあるんだろうと思う。
読めないのは残念だ。もしかしたら太陽が平気になる事例とかあるかもしれないからな。
そうだったら何を置いても試すのに。
…あぁ、だから読めないのか。太陽が平気になったら反逆者というか、反抗者とかがたくさん出るだろうしな。
一縷の望みに懸けるとしたらこれだ。幻獣な。ドラゴンとかユニコーンとかが幻獣に当たるらしいのだが、ほとんど目撃例が無いそうな。
本当に一縷の望みだな。もしもチャンスがあったら、死を覚悟で試してみようと思う。このままだとろくな人生にならないからな。
それで、やっぱりあったね。
「人からは恐れられており、一部の宗教からは敵視されている。」
吸血するし、太陽が苦手だし、まぁ、そうなるよね。ここは地球と同じだな。宗教から敵視されてるとか特にね。
は~ぁ、うかつに街にも行けないのか。
まぁ、ヴァンパイアは銀髪赤目だから分かりやすいんだよね。最初から行けないか。