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もしも、水戸のご老公が「日本首都」の面々だったら?

作者: 葉月風都

悪ノリです。

もしかしたら危険なのだろうか。


case1:風車を手裏剣代わりに投げる人がゴチの人だったら?




 ピシュウン!

 文の巻かれた風車が、風切り音を立てながら柱に突き立つ。


「こくぶ……もとい、弥七か……」


 越後のちりめん問屋と身分を詐称している白いおひげのご老公(キャストはリーダーの人でお願いします)が柱から風車を抜き取り文を開く。


「どれどれ……」

「リーダー……じゃなかった、ご老公。キーボードの人、もとい弥七は何と?」


 難しい顔をして文を読むご老公に、黒く日焼けをしたいいガタイのガテン系ベースの人、格さんが問いかける。


「見てご覧なさい、格さんや」

「拝見します」


 ご老公から格さんが文を受け取ると静かに読み始め、読み終えると同時に大きくため息をついた。


「……はあ」

「さすがはゴチの人……もとい弥七ですな」

「無駄にこだわりますね」

「人のことは言えないでしょう、君たちも」

「リーダ……いえ、ご老公だって」


 この連中、とにかくこだわるのである。

 自分たちの手でやりたい。

 やり始めたら最初から最後までやり遂げたい。

 出来たことでもより高みを目指す。


 それだけ聞けば「何と素晴らしい集団だろうか」と思うのだが、同時に「お前らの本業はなんだよ!?」とツッコミも入れたくなる。


 そんな集団である。


「まさか自分の使う小道具にそこまでツッコみますかね」

「まあ、弥七ですからねえ」


 文にはこう書いてあった。


『どう考えてもこのバランスじゃまっすぐ飛びませんよねえ。しかも、この風車なんて明らかに空気抵抗的に考えたらまずいでしょ。これを武器にして投げるとか有り得ないっすよね~』


 一体彼は、風車に何を求めているのだろうか。

 某空想を科学する人もびっくりである。


「まあ、やりたいようにやらせてあげましょうか」

「そうですなあ」


 そう言って遠い目をするご老公と格さんであった。






「はいー、と言うわけでやってきました。御公儀の絡繰研究所ですー」


 ちょっとヒゲっぽい顔で弥七が訪れたのは、江戸城下にある御公儀の絡繰り研究所(このお話は完全なフィクションです。ツッコミ不可です)である。


「ここには有名な蘭学者さんがいますので、風車型手裏剣について色々とレクチャーしていただこうかと思っております。アポは取ってもらっていますので、さっそくお邪魔してみましょう」


 にこやかにカメラに向かって微笑むと、弥七は建物の中に消えていった。


「どうも~。こんにちは~」

「やあ、ようこそ、我が研究所へ。何でも知りたいことがあるとか?」

「はい。かくかくしかじかでして……」


 伝家の宝刀、かくかくしかじかである。


「なるほど。それは気になりますよねえ」

「気になるんですよ~」

「何せご自身の武器ですからねえ」

「これが武器って言うのもどうかと思うんですけどねえ」


 身も蓋もないことを言う弥七である。


「とりあえず、実験してみましょうか」

「実験ですか。いいですねえ」


 お偉い蘭学者の先生は朗らかに笑うと、弥七を連れて移動を始めたのだった。




 二人が連れ立ってやってきたのは、しっかりと固められた土と的が置かれた弓道場のような場所であった。

 他に人影は見当たらない。

 事前に人払いでもしておいたのだろうか。


「まずは投げてみませんか」

「分かりました。やってみますね」


 弥七は風車を数個取り出すと、手首のスナップをきかせて的に向かって投擲する。

 投擲された風車は、テレビでよく見るような直線的な軌道を描いて的に見事に突き刺さ……らなかった。


「刺さりませんねえ」

「そうですね。しかも無駄にスクリューみたいに回転していましたね」


 空力的な問題である。


「どうすればいいんでしょう、先生」

「そうですね。とりあえず風車の位置が悪いですね」

「具体的にはどうすれば?」

「側面にあるのはどうにも具合が悪いですね。後ろ側に付けましょう」


 偉い蘭学者の先生は、表情も変えずにそう言うと、風車の位置を変えてしまった。

 まるで造花のような見た目になってしまった風車をみて苦笑するキーボードの人。


「先生、まるで造花みたいですね」

「そうですね。ひとまずこれで投げてみましょうか」

「分かりました」


 矢七は再度風車を的に向かって投擲する。

 今度は回転することなくまっすぐに飛んでいった。


「先生、まっすぐ飛びましたね!」

「そうですね。位置はこれでいいようですね」


 ちょっとだけ満足そうな顔をする蘭学者の先生。

 ただし、的に刺さった後に風車が横に来るように可変機構を組み込まねばらなりませんが、と蘭学者の先生は言っていた。

 だが、これで問題がクリアされた訳ではない。


「でも、上手く刺さりませんでしたね」

「そうですね。しかし、この程度のサイズと重量のものを木製の的に刺すにはかなりの速度が必要になりますね。計算によると……」

「あ、先生。難しい計算は置いといて、どのくらいの速度があれば刺さりますか?」


 先生が難しい話を始めようとしたのを野生の勘で察知した弥七が話の流れを見事にぶった切った。

 身も蓋もない男であった。


「……具体的にはマッハ45くらいでしょうか」

「ちょwww」


 どのようにして検証されているのかは割愛する。

 じゃないと作者がヤバいから。


「いくら何でも無理でしょう、先生」

「まあ、これは劇中の映像から考えられる30m程の距離から投げて木製の柱に刺さった場合のことですからね。もっと近距離から投げれば……」

「先生、それじゃあ弥七の武器がコレである意味が薄くなっちゃいますよ」

「それもそうですね。困りましたね」


 頭をひねる二人。


「先生、もっとサイズを大きくしたらどうでしょうか?」

「投げる時に負担が大きくなりますね。それに、空気抵抗の問題が難しくなります」

「それもそうか……」


 さらに頭をひねる二人。


「分かりましたよ、こくぶ……もとい弥七さん。同サイズで比重の重い物質を使って風車を作りましょう!」

「でも、投げるぼくの負担は重くなりますよね」

「サイズを変えるよりはマシでしょう。問題はそんな都合の良い物質が江戸城下には存在しないかも知れないことですね」

「それは困りますねえ」


 二人はひそひそと相談を続けている。


「……ではそういうことで」

「ええ。そういうことで」


 二人は大きく頷くと、実験場を後にしたのだった。




 それから三ヶ月後。


「りーだ……もといご老公、弥七から手紙が!」


 包丁を手にしてタオルを頭に巻いたドラムの人、もとい助さんが旅籠の部屋に駆け込んできた。


「何ですと。三ヶ月も音信不通だったのに」


 ご老公は助さんから手紙を受け取るとさっと目を通し、頭を抱えた。


「どうされました、ご老公」

「格さんも読んでご覧なさい」

「拝見します」


 そこにはこう書かれていた。


『遙か西方の地にて伝説の金属を発見しました。これで理想の風車の作成に取りかかれそうです。蘭学者の偉い先生も一緒なので心配しないで下さい。これから金属を加工できる職人さんに弟子入りして自分で風車を作ったら日の本に帰ります。半年ぐらいしたら帰れると思います。もうしばらく待ってて下さいね~』


 無言になる一同。




「何処までこだわる気なんでしょうかねえ……」


 遠い目をするご老公。


「まあ、僕ら日本首都ですから。仕方ないですね」

「ですね」


 一体君たちは何処を目指し、何になろうとしているのか。


 それは誰も分からない。





 あ、case1とか書いてますが、もちろん続きませんw

 

もちろん続きませんw

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ボーカルの人が見つからないこと。 [一言] 初めまして。 THE〇腕DASH面白いですよね。 「日本首都」はアイドルではない気がしますが。
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