(3)
「俺様のガキじゃね~つってんだろ~が!」
フェンリルは、声高に否定する。
「姿形は貴様にそっくりではないか」
「とかげは黙れ!どうせ狼なら全部同じに見えんだろ!」
テーブルを挟んだ反対側、緊急家族会議を大人しく聞いていたカイルは、静かに口を開く。
「お前さんが過去にどんな過ちをしようが関係ないが、子供ならちゃんと認知ぐらいはした方がいいぞ」
フェンリルは、自分の信用のなさに絶句する。
「怖いパパでちゅね~ネル君はあんな大人になっちゃ駄目だよ~」
ルークの膝の上に、ちょこんと座ったネルと呼ばれた子狼は、元気にはいと答える。
マスターのルークは、既に子狼に夢中だ。薄々気づいてはいたがルークは、ふわふわとかもこもこしたものに弱いらしい。
「往生際が悪くて埒があかないな。母親がいれば話は早いのだが、亡くなっているのなら仕方ない」
ナーガの言葉に、ネルが反応する。
「ママならここにいないだけで生きているですよ」
一同がネルに注目する。確かにいないとは言ったが、死んだとは一言も言ってない。
「人間界に来てるです。名前はシルフィって言うです」
「心当たりがあるようだな」
母親の名前を聞いてフェンリルは、だらだらと脂汗を流している。
「お、おめぇ・・・歳は幾つだ?」
ネルは自分の指を折り曲げ数を数え、フェンリルに三本突き出し「三歳です」と答え、フェンリルはその数字にあからさまに安堵した態度を見せる。
普通の狼なら三歳であれば十分大人なのだが、やっぱり神と呼ばれる存在は違うらしいとルークは思う。
「三歳なら絶対に俺様のガキじゃねぇ。保障すんぜ」
だが、一同のフェンリルを見る目は、あからさまに冷たい。フェンリルの保障など、全く信用してない目だ。
「そうかよ!俺様の事がそんなに信用出来ねーてのかよ!」
全員が縦に頷く。
「上等だ!おいネル!シルフィのとこに案内しやがれ!てめぇら俺様のガキじゃねーてわかったら土下座してわびやがれ」
家を飛び出すフェンリルに、ネルが「待ってです」と追いかけていき、後ろからはルークの「晩御飯はどうするの~」と呑気な声が追い掛けていった。