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宣戦布告


やばい、今までの言動で先生のスイッチを押してしまった、みたい、です。

え、だって…!


先生が椅子から立ち上がる。

そして、私が座っている椅子の背もたれと机に手をついた。

要するに、私は立ち上がった先生に囲まれているような体制になってしまった。

え、ちょっと…!



「永岡って学習能力ないの?」


「あ、ありますから!」


「じゃあ何、迫られたいって、そういうこと?」


「そんなわけないでしょっ!」



ただ、先生のこと少しは悪い人じゃないのかな、って思ったから…。

だから、素直に来たのに!

何この裏切りようはっ!



「この手を離してください!」


「どぉしよっかな。」


「“どぉしよっかな”じゃなくてー!!」



私は先生の肩を強く押す。

でも、先生はびくとも動かない。

ゃ、やだっ…!

私は何だか怖くてぎゅっと目を閉じた。

すると、先生の笑うのが聞こえた。

目を開けると、先生はさっきと同じように椅子に座っていた。



「そんなに怯えなくても、これ以上しないよ、」


「あ、の」


「今日は。」


「はぁ?!」



何をほざいてんだ!

馬鹿言わないでよ。

私はキッと先生を睨む。

いい人かな、っていう思いは一瞬にして裏切られた。



「先生、法律に反しますよ」


「何、生徒を好きになっちゃいけないって法律でもあんの?」


「っ…。」



…ない、よね、多分。

案外冷静に考えてみると別に大丈夫なような気もしてきて。

実際教師と生徒が恋に落ちるパターンがないわけではなくて、そして人によってはそのまま結婚っていうこともあるっていえばある。

だけど、それはたまに、ごく稀にある例でそこに私は決して属さない。



「と言うか、」


「ん?」


「何で私なんですか?」


「何が?」



先生は面白そうに、そして不敵に笑いながらそう答えた。

…何なの、その表情は。



「だから、その、…。」


「だから、何?」



先生はもう私が言いたいことはわかっている、はず。

だけど、自分からは言わない。

わざわざ私に言わせるために。



「~っ、だから!!」


「何?」


「何で、先生が好きなのは…、私なんですか。」



恥ずかし過ぎて最後の方は声が消えそうだった。

うつむきながらどうにか言う。

今の顔、絶対見られたくない。



「何、最後の方よく聞こえない。」



むーかーつーくー!!

ちゃんと聞いといてよ!



「なっ、んでもありませんっ」



私はいろいろどうでもよくなって椅子から立ち上がり、ドアに向かう。

すると、後ろから声をかけられた。



「そんなに聞きたいの?」


「え?」



私は振り返る。

先生は相変わらず椅子に脚を組んだままの格好で聞いてくる。



「俺が永岡を好きな理由。」



…ちょっと違う。

私が知りたいのは、先生が私を好きな理由じゃなくて、何で好きなのが他の誰かじゃなくて私なのか、ということだ。

あれ、一緒か?



「そうじゃなくて、知りたいのは、何で先生の好きな人が私なんですかってことです!………………あ。」



自爆した。

まんまと先生の手に載せられた。



「言うの遅。」


「~~~っ!」


「ってかまだそれは教えないよ。」


「何で?!」


「だって…、」



先生はゆっくり立ち上がって、私に少しだけ近づいた。

私はそれを見てることしか出来なくて。



「ゲームの始まりは、これからだし。」


「ゲーム?」



その単語に眉毛を潜める。

先生がこれから何を言わんとしているか、脳内で考えを巡らせる。

何だ、ゲームって。

何がゲームになるっていうの?



「そ。言っとくけど俺、永岡たちが卒業するまでに永岡を俺に惚れさせるから。」


「なっ…!はぁ?!」


「そうだなぁ、確率で言うなら……100%かな。」


「100%?!ありえ、ありえないんですけど!!」



「言ってなよ。これは絶対なんだから。」



自信満々、自己中心、唯我独尊、最後のは違うか。

何にせよ、全く私の気持ちが入っていない。

勝手なことを言われるのも、そろそろ我慢の限界。

私の中で何かが、ぶっちと切れた。



「絶っっっっっっっ対、惚れたりなんかしませんから!!!!」


「いいよ、じゃあ宣戦布告ってことで。」



あっさりと返事を返されてしまった。

ちょっとどころか、かなり拍子抜けしてしまう。

というか…、



「え、宣せ「お手柔らかに。それから、」





「覚悟してよね。永岡未緒サン?」






先生は私の話しを聞かずにそう言うとご満悦そうに国語科準備室から出てった。

ふ、ふ、ふざけんなぁぁ!!!

あいつのこと見直してた私が馬鹿だった!!






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