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祈り人  作者: 真辺 鈴華
8/9

#7 スクルド

「ウルズ御姉様。アリスの騎士(ナイト)が来たみたいですよ」

 何処か物憂げに泉を覗き込んでいたヴェルザンディが言った。

「あら・・・彼は彼女の事を大切に想っているのね…」

「“グレート・アリス”の騎士(ナイト)とは大違い。アリスは“グレート・アリス”の…」

「ヴェル!」

「す、すみません、ウルズ御姉様…」

 ウルズに叱られ、ヴェルは慌てて口を噤んだ。

「此処は“神の部屋”とは違うのです。何処で誰が聞いているのか、わからないのですよ」

「はい…」

 そう答えた後、少し重くなってしまった空気を変えようと、ヴェルは、泉を覗き込んだ…


***   ***   ***


「アリス!無事か!?」

 路地に、ネロの声が響く。

「ネロ!!」

 アリスにとって、ネロが傍に居ることは、何よりも心強いものだった。

「アリス、“祈る”ことはできそうか?」

「うん…ネロがいれば大丈夫だよ」

 微笑むアリスの身体からは、汗が溢れだしていた。

――ちょっと無理がありそうだな…

 ネロがそう感じている時。

 二人のやり取りを静観していた少女が、ネロに向けて言葉を放つ。

「君、“グレート・アリス”の騎士(ナイト)じゃぁ、ないの?」

「ぐれーと・・・ありす?」

 何の事だか、まったく分からない様子のネロに、少女は言葉を続ける。

「そぉかぁ…君は“グレート・アリス”の騎士(ナイト)の影武者…置き土産なのかなぁ…」

「“本物オリジナル”よりも(マモルベキモノ)を想ってるんだね…」

 そして、口が裂けんばかりの笑みを浮かべる。

「面白いじゃないか!!良いだろう。僕の名前を教えてあげる」

 ナイフをしまい。

「僕は“スクルド”。“グレート・スクルド”だよ」

「ネロ・・だったかな?君はいつか僕の手で消させてもらうよ」

 スクルドは“闇”を引き連れ、暗がりへと消えていった…


***  ***  ***  ***


 スクルドが姉たちの待つ“ウルズの泉(ウルザブルン)”へ足を踏み入れた刹那。

「った…!?」

 結晶が腕を掠り抜けた。

「スクルド。彼ら人間に“本物オリジナル”や“グレート・アリス”の事を教えるだなんて…」

 ウルズが怒りに震えていることを、スクルドはすぐさま察した。

「ウルズ御姉様。ご安心ください。彼らはその事を喋らないでしょうし、僕は近々彼らを処分するので」

「…“グレート・アリス”の置き土産…確かに、私達の世界に入らないものですね…」

「…いいでしょう。貴方の好きになさっても。ただ、私は知りませんよ。グレート・アリス”のお怒りを 買ったとしても…」

「お許しいただき、光栄です」

 その言葉を聴き、背を向けるウルズ。

スクルドは笑みを浮かべ―――

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