#4 奇遇ですね
「は~…相変わらず雪斗は弱いな~」
大袈裟なリアクションをユノがとる。
「そんな事より、そちらの方は、お知り合いですか?」
雪斗と呼ばれた銀髪・緑眼の少年がユノに問う。
「ん、こっちがネロ。私の幼馴染で…」
ユノがアリスを見てクスリと笑い。
「そっちの金髪女の名前は忘れちゃった☆」
さっき名乗ったばかりなのにな、と、そう思いながら再び名乗る。
「私はアリスって言います。ネロの相棒です」
「僕は雪斗です。このコはユウナ。よろしくお願いします、アリスさん」
ユウナと呼ばれた少年(少女?)は軽く会釈をし、雪斗はアリスに握手を求めた。
雪斗と握手を交わし、ユウナに会釈といえないくらいの深いお辞儀を思わず返す。
「アリスさんはこれからどの様な道を辿るおつもりで?」
雪斗が小首を傾げ、アリスに聞く。
サラサラと銀髪が揺れる。
「あ、私たちは」
「そんなの聞いて如何するんだ?」
アリスの言葉を遮りネロが雪斗に聞く。
「ああ、これは失礼。折角ユノと貴方が再会できたんです。何処かで待ちあわせでも、と思い」
雪斗が申し訳なさそうな表情をする。
その表情に毒気を抜かれたようにネロが先の問いに答えた。
「ユーテアの街を経由、リリンの村で軽く仕事してからティリナの街で大仕事それから暫くティリナの街で休養する予定」
「奇遇ですね、ティリナの街には僕らも仕事に行くんです」
雪斗が微笑む。
「じゃあ、またネロに逢えるね~♪」
「あ~はいはい。…アリス。そろそろ行くぞ」
「う、うん!それでは、雪斗さん、また今度!」
ユノを無理矢理身体から引き剥がし、歩き出したネロを、慌ててアリスは追いかける。
ネロとアリスの姿が人ごみに紛れた頃。
「雪斗、そろそろ…良いか?」
ユウナが言葉を発した。