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魔界独立戦争 ~継承された守護魔道~  作者: 川合 佑樹


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第三十三話

 ソウマの息が荒く、鎧の表面が熱で歪んでいた。

 シャクゴクの砲口が再び青白く輝き始めた。

 ジンが割って入った。

 ノイズ混じりで、切迫した調子だった。

「ソウマ、補給ラインの破壊は一時しのぎだ! 次のレーザーでテツカガミが持たん……直接、叩け! コアを破壊するしかない!」

「直接……破壊? あそこまで行けるのか?」

 ソウマはスラスターを全開に噴射した。

 彼は低空を滑走し、結晶樹木の残骸を盾に向かった。

 レックウが追撃の機銃を浴びせ、弾丸が背中をかすめた。

 火花を散らし、熱が内部に伝わった。

「ソウマ、右翼のライセン三機が接近! 回避ルートを上空へシフトして!」

 ノゾミの指示がヘルメットに投影された。

 ソウマは体を捻り、シールドで弾いた。

 反動で高度を上げ、岩壁に張り付くように着地した。

 登攀は、死の梯子だった。

 ライセンが壁面を這い上がり、ワイヤーを射出してきた。

 一本が肩を掠めた。

 ソウマは咄嗟に刃を展開し、それを切り裂いた。

 流れで敵の脚部を斬り飛ばし、機体を岩壁に叩きつけた。

 レックウが上空を旋回し、爆弾を投下した。

 ソウマは岩の隙間に身を滑り込ませ、爆風をやり過ごした。

 熱波が鎧を焼き、視界の端が赤く染まった。

「まだ……あと少しだ!」

 彼はスラスターを再起動し、這い上がった。

 息を呑み、周囲を見渡した。

 そこに、クロノスの巨影が立っていた。

 漆黒の魔導騎兵が、赤い魔力線を表面に脈動させていた。

 キャノンの砲口が不気味に唸った。

 レイが無線で咆哮した。

「来たな、シロガラス! ソウマ・ツキヤマ! お前がサラの笑顔を炎で灰にした! この力で、サラの魂を俺が取り戻す!」

 ソウマは息を呑んだ。

 無線で応じた。

「レイ……サラの痛みは知ってる。でも、お前の復讐がムカイハラの炎を生んだんだ! これ以上、誰も失わせない!」

 レイの冷静な仮面が剥がれ落ちた。

 クロノスのスラスターが爆音を上げ、突進した。

 ソウマはスラスターを全開にした。

「アメノハバキリ、起動!」

 右腕に刃が形成された。

 クロノスの両腕から巨大な魔導剣「クサナギノツルギ」が展開した。

 弧を描いてソウマに襲いかかった。

 その剣は、単なる切断武器ではなかった。

 プラズマ状の刃を高速回転させて生成されていた。

 剣が風を切り裂いた。

 ソウマの鎧に向かって直線的に迫った。

 レイの操作は精密だった。

 ソウマの回避軌道を先読みした。

 一撃が鎧の表面をかすめ、即座に熱波が発生した。

 外層が剥離を始めた。

 電弧が跳ねて周囲の岩盤を焦がした。

「ぐっ……!」

 ソウマは咄嗟にシールドを展開し、二撃目を辛うじて受け止めた。

 しかし、クロノスの両腕が止まらない。

 左手が横薙ぎに払われ、右手が上段から叩きつけられる。

 絶え間ない連撃の嵐が、ソウマの巨体を包囲した。

 障壁の表面が火花を散らし、熱が内部に染み込む。

「前より速い……この反撃の隙がない!」

 ソウマは後退を試みたが、レイの先読みがそれを許さない。

 回避の軌道を予測し、脇腹を掠めた。

 ソウマは覚悟を決め、斬り合いを挑んだ。

 腕を振り上げ、クロノスの左腕を狙った。

 カウンターでクロノスが胸部を切り裂いた。

 クロノスの両腕が再び襲いかかる。

 下段から突き上げ、回転斬りで追撃。

 装甲の破片が飛び散り、岩盤に溶融跡を残した。

「このままじゃ……やられる……!」

 レイの無線で冷たく響いた。

「感じろ、少年! サラの痛みを、俺の怒りを!」

 クロノスの剣が再び弧を描き、ソウマの肩を深く抉った。

 ソウマは咆哮を上げ、反撃の隙を探った。

「ぐっ……速すぎる……!」

「お前が帝国の道具として彼女を殺した!」

 ソウマは無線で叫び返した。

「道具じゃない! 父さんの遺志で、ユナと村を守ってるんだ! お前のサラも、そんな想いで戦ってたはずだろ!」

 クロノスが一瞬後退し、キャノンを一発放った。

 奔流が岩場の一部を溶かした。

 ソウマを吹き飛ばした。

 反動でクロノス自身がわずかに後退した。

 キャノンの奔流は、直径二メートルの光柱だった。

 発射された瞬間、周囲の空気をプラズマ化した。

 砂地をガラス質に変えるほどの熱量を放った。

 余波がソウマの鎧を押しつけた。

 関節部が軋んだ。

「こいつ……こんなものまで!」

 ソウマは機動性を活かして衝撃波で反撃した。

「カグツチ、起動! 指向性展開!」

 指向性を高めてクロノスに集中させた。

 クロノスの表面を叩いた。

 だが、対魔素装甲の振動吸収層が波を分散し、内部への浸透を防いだ。

 それでも、外殻に微細なひびが入った。

 レイの無線が震えた。

「道理からはずれた力では、平穏は生まれない!」

 ソウマは息を切らし、応じた。

「大人なら断ち切れよ……この連鎖を! 俺だって、失った痛みを知ってるんだぞ!」

 ジンの通信が響いた。

「ソウマ、再チャージまで十秒! なんとか耐えろ!」

 シャクゴクが頂上全体の魔素粒子を活性化させた。

 それがクロノスの攻撃をさらに強化した。


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