第二十一話
テツカガミは荒野を低空で疾走していた。
数キロ先にそびえるカゲトリデの輪郭は、霧越しに揺らめいていた。
頂上の魔導灯が瞬いた。
遠くで、防衛塔が爆炎に包まれていた。
公国軍の航空機が魔導弾を降らせ、鉄壁を焼き焦がした。
ジンが戦術マップを睨んだ。
「カゲトリデまで数キロ! ソウマ、リンカ出撃準備! 防衛戦に間に合わなければ要塞は落ちる!」
ミコトが解析した。
「正体不明の機体が接近中!」
リョウタは榴弾砲を調整しながら静かに呟いた。
「俺たちが援護する。カゲトリデを守れ」
キオウの哄笑が轟いた。
「虫けらども! カゲトリデは我々が奪う! 決戦だ!」
戦場は広大な荒野だった。
ソウマは格納庫で深呼吸した。
「ここで負けたら、世界が終わる……頑張らないと」
魔導書の刻印が眩い光を放ち、鎧を形成した。
ハッチが開き、彼は修羅の荒地へ飛び出した。
直後、ゼツエイが追従した。
「ソウマくん、私もいくわ! 援護して!」
リンカが明るく通信を送った。
霧の奥から、サラ・テンカの操る球体型巨大魔導騎兵「カゼダン」が現れた。
深橙色の機体から伸びる八本の超高強度魔鉱線「ヤマタノオロチ」が荒野を跳ねた。
サラの無線が暗号化された内部周波数で聞こえた。
冷たく、だがどこか悲しげに。
「ソウマ・ツキヤマ。あなたの力が世界の均衡を崩す。この戦争を終わらせるために、あなたを止める!」
ソウマとリンカは即座に連携を組んだ。
ソウマの刃とリンカのワイヤーを同時に展開した。
カゼダンに迫った。
「今だ、リンカさん!」
「了解! 絡め取るわ!」
ソウマの叫びに、リンカが応じた。
二人は一気に攻撃を仕掛けようとした。
その瞬間、ゴウライがレーザーを放った。
二人の間を割るように荒野を切り裂いた。
爆風が二人を吹き飛ばした。
レイの冷徹な命令が響いた。
「サラ、奴らを分断する。シロガラスをやれ」
サラはコックピット内で、機体の制御レバーを強く握りしめていた。
機体は彼女自身が受けた特殊な訓練によって動く。
彼女の意志でヤマタノオロチを操作した。
鋼線の一つが岩場に突き刺さった。
引き戻す勢いで機体を前進させた。
もう一本が敵の足を狙った。
サラは先端に装備された魔導剣と砲撃ユニットを瞬時に切り替える。
二本が鋭い剣を振り回した。
残り二本は小型砲を連射した。
二人を後退させた。
一本が鎧の足元を巻き取った。
ソウマとリンカは盾を展開した。
カゼダンの猛攻を辛うじて防いだ。
「相手も人間……癖を読め……!」
ソウマが呟いた。
リンカがゼツエイのワイヤーを展開した。
カゼダンの横薙ぎがソウマのシールドを直撃した。
別の二本が高圧電流を放った。
鎧の魔力回路を焼き焦がそうとした。
残りの五本が扇状に広がった。
二人の退路を封鎖した。
まるで、触手の群れだった。
サラがソウマを拘束しようした。
リンカが魔導剣で防いだ。
その時、レイのレーザーがリンカを狙った。
リンカは魔導盾でレーザーを逸らした。
「ソウマくん、先に丸っこいのをやるよ!」
リンカとの短いタッグ戦が荒野を熱くした。
レイのゴウライが、リンカを狙った。
レイの声が届いた。
「……サラ、シロガラスを優先しろ!」
レーザーがリンカを後退させた。
「了解! 電磁パルスで回路を乱すわ!」
サラが即座に応じた。
攻撃をソウマに集中させた。
鋼線から高圧電流が放たれた。
ソウマの鎧を軋ませた。
レイのレーザーがその隙を突いた。
連携の完璧さが二人を後退させた。
ブリッジからミコトの通信が飛んだ。
「ソウマ、敵の連携を崩すわ! レイのレーザーチャージに五秒の隙がある。結晶樹木の密集地が有利になるわ!」
彼女がパターンを解析した。
戦術マップにリアルタイムで投影した。
カズマが補助魔導書を握った。
「ガキ、死ぬなよ! 俺のエンビに合わせろ!」
ノゾミがリンカに指示を飛ばした。
「リンカ、レイの足止めを優先して!」
リンカが即座に応じた。
「了解! ゴウライ、絡め取るわよ!」
ミコトがカズマに素早く指示を飛ばした。
「カズマ、ソウマの援護! リョウタ、樹木を攻撃して魔素を放出させて!」
カズマのパルス砲が広域拡散した。
カゼダンの攻撃を一瞬だけ無力化した。
リョウタの榴弾砲が結晶樹木を直撃した。
大量の魔素がカゼダンの制御を乱した。
ノゾミが地形をスキャンする。
「ソウマ、右翼の岩場へ! 攻撃範囲を制限できるわ!」
ソウマは滑り込み魔導書を握り込んだ。
「……ヤシオリ、起動!」
右腕にワイヤーを形成した。
カゼダンの鋼の蔓二本を絡め取った。
同時、リンカがゴウライの足を捕縛した。
「逃がさないわよ!」
だが、ゴウライのスラスターがゼツエイを圧倒しかけた。
リンカの機敏な回避が隙を生んだ。
ジンの通信が届いた。
「ソウマ、時間を稼げ! 援軍が……来るはずだ!」
ミコトが再び割り込んだ。
「ソウマ、今よ! リョウタの榴弾と同期して、隙を突いて!」
ソウマは鋼線一本を切り裂いた。
その瞬間、リンカがワイヤーを最大数展開した。
ゴウライを完全に捕縛した。
「ちょっと散歩に付き合ってもらうわよ!」
ゴウライを引きずってカゼダンから離した。
ソウマの一騎打ちの場を確保した。
サラが猛攻を仕掛けた。
ソウマのシールドが辛うじて防いだ。
「隙が無い……一機でも強い!」
ソウマの叫びに、サラが冷たく返した。
「誰も、戦争なんてしたくないのよ」




