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魔界独立戦争 ~継承された守護魔道~  作者: 川合 佑樹


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第二十話

 ハガネハラの勝利から数日後。

 突然、ブリッジのスクリーンが点滅した。

 ミコトがコンソールに指を走らせた。

「緊急放送! 公王ユウエン・クロノからの無線……帝国と公国両民向け! シユウの死に関する宣言よ!」

 ジンが戦術マップから目を上げた。

「全員、視聴しろ。敵の心理戦を分析する」

 クルーたちがスクリーンの前に集まった。

 ミコトが冷静に補足した。

「放送は帝国全域にも届いてる……心理戦ね」

 スクリーンに映し出されたのは、クロノミヤの玉座広場だった。

 広大な広場だった。

 数千の公国民が統制されていた。

 魔導灯が結晶樹木の脈動する光と交錯した。

 広場を幻想的かつ威圧的な光で染めた。

 魔導騎兵の重い足音が大地を震わせた。

 魔導航空機が空を覆う映像が挿入された。

 戦争の迫力が視覚に訴えた。

 中央に立つ公王ユウエンは、漆黒の魔導甲冑をまとっていた。

 魔導回路が刻まれ、青く脈打っていた。

 甲冑の肩にはクロノ家の紋章が刻まれていた。

 長い白髪が風に揺れた。

 瞳には威厳と狂気が交錯していた。

 腰の魔導剣を握る手は力強かった。

 広場の民衆が一瞬静まった。

 背後の巨大なクロノ家の紋章が魔導刻印として脈打った。

 光の波動が広場を震わせた。

 ユウエンの演説は、公国と帝国に荘厳に轟いた。

「魔界公国の民よ! 帝国の偽善に塗れた民よ! 聞け! 我が子シユウ・クロノ、空の覇者、魔導航空騎兵の誇りが、奴らの汚れた手によって討たれた! 帝国の少年──守護魔導書の使い手、ソウマ・ツキヤマ──が、シユウの血を霧に溶かし、魔林の炎でその魂を焼き尽くした! これは戦死ではない。人間界の蛮行、魔界の未来を踏みにじる虐殺だ! この喪失は、魔界の民すべての痛みとして刻まれる! 長きにわたり、我らの魔鉱を貪り、結晶植物の光を奪い、我々の子らを強制労働の闇に沈めた。だが、もはや黙してはおれぬ! これより、魔界公国は総力戦を始める!」

 ユウエンが剣をゆっくり掲げた。

 広場の民衆が一斉に拳を突き上げた。

 雷鳴のような咆哮が爆発した。

 映像は、魔導騎兵がハガネハラで魔鉱を運ぶ姿に切り替わった。

 農夫が結晶植物を手に持つ姿が続いた。

 子供たちが魔鉱石を掲げる姿も。

 総動員の決意を視覚化した。

「我々の手には、魔鉱の鼓動を結集した究極の力──ナラクテンマが眠っている! その炎は全てを焼き尽くし、艦隊を一瞬で灰にする! 農夫よ、結晶植物を鍛え、武器とせよ! 戦士よ、魔力を力に変え、敵の心臓を貫け! 子供たちよ、家族の傍らで希望の光を灯し、魔界の未来を守れ! 我が子メイテン、シキ、レイと共に、我々の血は一つだ! 団結こそ我々の力だ!」

 ユウエンは剣を下ろし、民衆に訴えた。

「帝国の民よ、聞け! お前たちの指導者は嘘で塗り固められた。若き戦士たちは、指導者の操り人形として利用されている。彼はシユウを殺し、お前たちの未来を汚した。今、指導者を裏切り、降伏すれば、呪いから解放される! さもなくば、ナラクテンマの炎が、お前たちの街々を灰に変える! 勝利か、死か──これが魔界公国の運命だ!」

 演説は民衆の絶叫で締めくくられた。

 映像がノイズと共に途切れた。

 テツカガミのブリッジに重い沈黙が流れた。

 ジンが戦術マップを睨んだ。

「総力戦……カゲトリデが標的になる。全員、戦闘準備!」

 カズマがスクリーンを睨みつけた。

「早く動かねーとまずいぞ! 公国は本気だ!」

 ノゾミが計器盤を確認した。

「カゲトリデまであと八分!」

 格納庫でソウマは演説を見つめていた。

 ユウエンの「ソウマ・ツキヤマがシユウの血を霧に溶かした」という言葉が、胸を刺した。

 シユウが炎に包まれた瞬間が、脳裏に蘇った。

 ムカイハラの炎と重なった。

「俺が……総力戦の引き金を引いた?」

 ユナが近づき、指輪を握らせた。

「ユウエンの言葉は嘘よ。争いなんて始めた奴が悪いのよ」

 ソウマは手を強く握り返した。

 総力戦の宣言は、公国軍の反攻の狼煙となった。


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