第十六話
テツカガミがハガネハラの坑道入口を通過した。
直後、広大な闇が爆音で裂けた。
メイジンの爆弾が遅延起爆した。
黒煙の渦が船体を直撃した。
壁面反射で圧力が拡散し、クルーたちの耳に激痛を与えた。
ブリッジの計器盤が激しく振動した。
警告灯が乱れ点滅した。
「低空回避! 全員、戦闘準備!」
ジンの命令がブリッジに響いた。
ソウマは鎧を身に纏った。
「ソウマ、出ます!」
彼は飛び出した。
その直後、ヘルメットからジンの通信が響いた。
「ソウマ、坑道の地形は広大だ。ライセンの鋼糸網が最大の脅威となる。立体的に張り巡らされるはずだ。シールドを最小限に抑え、魔鉱脈の脈動を逆利用して位置を予測しろ。俺たちはパルスで上空を牽制、リョウタの榴弾で捕捉網を焼き切る。脱出ルートは東の分岐通路だ。支援が来るまで耐えろ!」
ソウマは息を荒げて応じた。
「了解! 援護任せます!」
瞬間、ライセン部隊が天井から降下した。
十機以上の敵機がワイヤーを射出した。
ライセンは急降下し、魔導剣がソウマの頭上を切り裂いた。
転がるソウマの足元で砂礫が飛び散った。
次の機体が壁面を加速した。
網を立体的に展開し、逃げ場を塞いだ。
天井の暗部から一機がスイング攻撃を仕掛けた。
もう一機が低空から土煙を巻き上げて視界を悪化させた。
ライセンがソウマの周りを旋回した。
「どこから攻撃が来るのか分からない……せめて守るしか!」
ソウマの防御が空を切った。
攻撃が当たらない苛立ちが募った。
鋼糸は何重にも層を成した。
網は電磁パルスを帯び、電流でソウマの鎧を過負荷に追い込んだ。
外層が高速で振動し、音響干渉を生んだ。
内層が低周波で接近した。
ソウマの感覚を多角的に麻痺させた。
ソウマは障壁の展開を最小限に抑えた。
数本がソウマの脚に巻きついた。
複数の敵機がソウマを引き倒し、鎧を岩壁を擦るほどの高度に持ち上げた。
テツカガミからソウマを強制的に引き離すのが目的だった。
「くっ……動けない……!」
鎧を解除したら、人間の状態で落下して死ぬ。
ソウマに原始の恐怖が蘇った。
テツカガミにも危機が訪れた。
ライセンが上空から捕捉網を船に撃ち込んだ。
エンジンを圧迫し固定させた。
ノゾミが叫んだ。
「機体が固定されてます! 上空の攻撃を防げません!」
パルス砲のチャージ音が天井の岩盤に反響を起こした。
照準のレーザーが歪み、無駄打ちになった。
折り重なった鋼糸がテツカガミの排気口を塞いだ。
換気を阻害し、船内の温度が急上昇した。
ブリッジの空調が停止した。
クルーたちの額に汗が滴った。
視界が熱気で揺らぐ。
ジンは即座に予備電源を切り替えた。
ノゾミに命じた。
「手動操縦でワイヤーを引きちぎれ!」
彼女は船を強引に傾斜させて抵抗した。
鋼糸の張力が船殻を軋ませた。
甲板の溶接部から煙が上がり始めた。
リョウタが小型の榴弾砲を展開し、鋼網を狙った。
「角度が合わない!」
彼の呻きが通信に混じった。
カズマが提案した。
「俺の波長と同期させて、焼き切るぞ!」
二人で即席の連携を試みた。
魔鉱の干渉で出力が不安定に揺らぎ、船内の警報が絶え間なく鳴った。
クルーたちの顔に死の影が差した。
メイジンの嘲笑が響いた。
「ここがお前らの墓場だ!」




