第十二話
ジンの通信が響いた。
「ソウマ! 戦力分析は終わった! 出撃せよ!」
ソウマはヘルメットに戦術マップを投影した。
キリハシラ戦後の格納庫で、カズマが言った。
「お前の鎧は俺らの攻撃と同調できる。衝撃波を広範囲に飛ばせば、敵なんて一網打尽だぜ」
リョウタが静かに頷いた。
「出力の同期を取れば、衝撃波として放てるんじゃないか?」
あの言葉が、今、胸に蘇った。
初めての試みだった。
失敗すれば、鎧の回路が焼き切れるかもしれない。
でも、テツカガミが炎に包まれる今、試すしかない。
「魔素粒子よ、力を束ねよ!」
鎧の両腕からエネルギーが収束した。
変異魔力が感情で増幅され、怒りが波を鋭くした。
銀色から、青みがかった光の回路が新たに刻まれた。
魔素衝撃波「カグツチ」がソウマにインプットされた。
「これは……カグツチ、起動! 指向性展開!」
扇状のパルス波が空を切り裂いた。
粒子が連鎖的に活性化した。
しかし、出力が不安定でシックウの翼をかすめただけだった。
シックウの外殻が共振でひび割れ、高度を落とした。
完全な墜落ではないが、陣形に隙を生んだ。
シユウの部下たちの顔に一瞬の動揺が走った。
だが、即座に隊列を再構築した。
シックウの残機が高度を上げ、散開飛行を開始した。
シユウの嘲笑が無線で届く。
「新兵器とやら、その程度か! 我が戦術の前では児戯に等しい!」
マガイとシックウが高速旋回で回避した。
「シックウ、散開! マガイ、絨毯爆撃だ!」
マガイがナパーム弾を投下した。
結晶樹木が炎に包まれた。
広範囲を焼き払うほどの規模で広がった。
ソウマの視界が赤く染まった。
ナパームの爆炎が船を襲った。
粘着炎が木々を這い上がり、焼ける臭いが広がった。
シックウが低空で死角を狙った。
クルーたちは熱波の振動に震えた。
ソウマは衝撃波の成功に一瞬の自信を得た。
炎の勢いがそれを掻き消した。
「アメノハバキリ、起動!」
刃が形成された。
彼は爆炎を突き進んだ。
ナパーム弾を弾き返した。
粘液を切り裂くたび、二次爆発が森を揺らした。
「熱が……張り付く」
彼はスラスターの微調整で火の渦を縫った。
シックウの翼下から放たれる機銃弾の雨を回避した。
それでも、熱風が視界を歪めた。
シユウの部下の一人が焦りを露わにした。
「中佐、火の広がりが予測外です!」
カズマがパルス砲を放った。
シックウの隊列を乱した。
「ガキ、俺のパルスに合わせろ!」
リョウタの榴弾砲がピンポイントでシックウを狙った。
一機を撃墜した。
「ソウマ、右翼を!」
テツカガミが障壁を展開した。
ナパームの直撃を回避した。
シユウが無線で叫んだ。
「息も出来ねば、生きれまい!」
マガイがナパーム弾の雨を降らせた。
マガイの投下は波状攻撃だった。
第一波が前衛を焼き払った。
第二波がテツカガミの周囲を包囲する火環を形成した。
炎の熱が空気を歪め、視界をさらに狭めた。
シックウがその隙を突き、連続射撃を浴びせた。
テツカガミのシールドが赤く発光した。
シックウの残機が高度を下げた。
機銃の弾幕がソウマの頭上を薙ぎ払った。
彼は体勢を立て直した。
熱風に逆らって跳躍した。
炎の隙間を縫ってマガイに迫った。
シユウの機体がスラスターを噴射して距離を取った。
「包囲を維持せよ!」
部下への命令が漏れ聞こえた。
ソウマは最後の力を振り絞った。
「カグツチ、起動! 最大出力!」
二機の機体が制御を失った。
翼が折れ、森の斜面に激突した。
マガイは耐え抜いた。
シユウが撤退を決断した。
「一時撤退し、準備を整えよ。次で決着をつける!」
マガイとシックウが遠ざかった。
火の手は徐々に勢いを失った。
ソウマの足元の土がまだ熱を帯びていた。




