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<第一部マンハッタン島編 第一章『冒険への召命』 シーン5.5(解説)>

【挿話・解説】

(とはいえアーロンはアーロン自身のために、そしてこの物語の為にも、ウィルソン大統領の十四か条演説の復習だけは真っ先にしなければならない)


――1918年1月8日、アメリカ合衆国国会にて大統領ウッドロウ・ウィルソンが演説したのは、泥沼化する世界大戦の“終わらせ方”の提案であった。

8つの地域の具体名を挙げつつ14の項目を掲げており『十四か条演説』と呼ばれている。


1.講和交渉の公開・秘密外交の廃止

2.海洋(公海)の自由

3.関税障壁の撤廃(平等な通商関係の樹立)

4.軍備の可能な限りの縮小

5.植民地の公正な処置

6.ロシアからの撤兵とロシアの政体の自由選択

7.ベルギーの主権回復

8.アルザス=ロレーヌのフランスへの返還

9.イタリア国境の再調整

10.オーストリア=ハンガリー帝国内の民族自治

11.バルカン諸国の独立の保障

12.オスマン帝国支配下の民族の自治の保障

13.ポーランドの独立の保障

14.国際平和機構(国際連盟)の設立


ウィルソン大統領はその約1年前には『勝利なき平和』と題する演説を行っている。この時はアメリカは参戦前だった。勝敗や面子にこだわらず、二度と戦争が起こらないように強力な秩序を築こう、という理想主義がウィルソンの二つの演説では宣言されている。しかしながら実際には、当時の敵国であるドイツ帝国は意識的に十四か条演説を曲解して報道したし、連合国側にもウィルソンを「現実が見えていない宗教指導者のようだ」と揶揄(やゆ)する風説が存在した。そして何より、アメリカ軍がヨーロッパで戦闘をして死傷者を生み続け、さらに他の当事国にも軍需物資を輸出して利益を得ている状況と平和主義的理想論との矛盾は明らかだった。

ウィルソンは善なのか偽善なのか、秩序を呼びかけているのか混乱を呼んでいるのか、当時からどれだけ議論してもしつくされることはなかった。


…っていう感じだったはずだよな、と考えながら、アーロンは大学図書館に向かう。

シーン6は9月21日投稿予定

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