第三十一回 華光 孫行者と和解し、勧善懲悪の旅に出る
初めまして!原海象と申します。
今回は 中国四大遊記の一冊である神魔小説『南遊記』の三十一回目を編訳したものを投稿致しました。
なお、原作のくどい話やあまり馴染がない用語や表現はカットしております。
原作は明から清の時代に書かれたとされております。
また本書は別名は「五顕霊官大帝華光天王伝」といいます。
<南遊記>
第三十一回 華光 孫行者と和解し、勧善懲悪の旅に出る
孫行者の子である月孛星は父上が敗走したのを横で見ておりました。
そこで彼女は華光天王の名前を叫びながら、手に持った宝貝の髑髏を打ち動かしました。
すると途端に華光は頭に激痛が走り、目はふらふらしてしまい。
あわてて家臣に守られながら華光は離婁山に逃げ帰りました。
この月孛星の宝貝はたいしたもので、
髑髏をかざして傷を入れ、相手の名を呼べば、
その者に苦しみをあたえ、相手は三日内に死んでしまいます
この時、火炎王光仏(勧善大師)は華光と大聖が争っているのを知り、
華光が孫一族に敵わず月孛星の手に落ちるであろうと推察し
この二人を和解させようとやってまいりました。
悟空の陣中に入りますと、孫行者は合掌して火炎王光仏(勧善大師)にご挨拶いたしました。
火炎王光仏(勧善大師)は返礼をすると開口一番に言いました。
「大聖が私の不肖の弟子と争われておると伺いましたが、それはもしや奴が大聖に化けて蟠桃を盗んだ一件によるものでは?」
孫業者は苛正しく、
「奴が拙僧の名声を傷つけるような真似をするからだ」
「もしそういうことでしたら、日を改めて貧道が華光を連れてきて罪を認めさせましょう。
貧道の言葉を聞いても、大聖はお許し下さらぬか?」
「何とおっしゃるおつもりで?」
「弟子は大聖のご尊顔に変じたばかりに、御令嬢の髑髏によって今まさに死なんとしております。昔から、『好漢は好漢に引かれ合う』というではありませんか。どうか大聖、華光をお許しになり、貧道が間に立ちますから華光と義兄弟の契りを結ばれては如何ですか?」
「老師父にそう言われては考えないわけにはいきません。しかし如何せん玉帝陛下は拙僧を罪に問おうとしてるんです。この件はどうするおつもりで?」
「もし貧道の顔を立てて下さるのであれば、天界のことは貧道の方で処理いたしましょう。
大聖のお手を煩わせることはございませんよ」
「玉帝陛下がうんと言いますかどうか」
「華光は陛下の外甥です。また貧道が一言言い添えれば、許さないということはないでしょう」
「そういうことでしたら、お言いつけに従いましょう」
そこで孫行者は、さっそく娘の月孛星を呼び出して申しました。
「老師父が、華光を許してやれとのことだ」
そう言われて、月孛星は刀で髑髏の傷付いた部分を
そぎ落としまして火炎王光仏(勧善大師)に申します。
「さっき叩いたところを削りました。これでもう大丈夫」
火炎王光仏(勧善大師)はこれを聞いて一安心しました。
すぐに謝して大聖と別れ、離婁山まで赴くと華光にこれまでのことを話しました。
華光も火炎王光仏(勧善大師)と一緒に、孫一族の陣営を訊ねました。
火炎王光仏(勧善大師)が間に立ち、二人に義兄弟の誓いを結ばせますと
孫行者が宴席を整えて皆を歓待いたしましてから、各々分かれていきました。
悟空親子は眷属を率いて花果山へと帰りました
火炎王光仏(勧善大師)は玉帝陛下へ上奏しに行き、華光の許しを請いました。
こうして孫一族との争いは収まり、平穏な日々が戻ってまいりました。
華光は臣下共に、こう言いつけました。
「お前達は、菩薩の文殊院や于田国の俺の廟、それに離婁山をよく見張るんだぞ。
俺は今回の一件で不問とされる代わりに、陛下から天下漫遊をして
万民が災いに遭えば災いを救い、難に遇えば難を救うようにとの玉旨を賜った。
何、『日ならずして戻ってくる』からな大丈夫だ」
こうして、華光は人を喰らう妖怪がいれば調伏し、病魔などの厄災があれば其れを取り除く等の勧善懲悪の旅にでたのでした。




