第二十八回 華光 西王母の蟠桃を盗む
初めまして!原海象と申します。
今回は 中国四大遊記の一冊である神魔小説『南遊記』の二十八回目を編訳したものを投稿致しました。
なお、原作のくどい話やあまり馴染がない用語や表現はカットしております。
原作は明から清の時代に書かれたとされております。
また本書は別名は「五顕霊官大帝華光天王伝」といいます。
<南遊記>
第二十八回 華光 西王母の蟠桃を盗む
西王母娘々の金岳園に来たのはいいが、この後どうしたものかと考えていました。
(もし西王母娘々の蟠桃を盗むのならば、前罪のある猴に化けて行くしかあるまい)
そこで早速花果山の斉天大聖に変ずると、西王母娘々の金岳園に忍び込みました。
蟠桃園内には一人の寺男が見張り番をしております。
ところがずっと居眠りしっぱなしで華光がやってきたのにも気が付きませんでした。
華光が蟠桃園内に至り、ふと頭上の樹を見上げると、その樹こそ蟠桃の樹でした。これを見てそそくさと五、六個の蟠桃を摘み取ると華光はそそくさと逃げ出しました。
寺男が目を覚ましてみると、蟠桃の樹の辺りには猴の足跡があり
蟠桃が数個なくなっておりました。
慌てた寺男は西王母娘々に、平伏しながら報告いたしました。
「蟠桃樹の桃が五、六個ばかり消えてしまいました。盗んだ犯人は見つかりません。
しかし蟠桃の樹の辺りには猴の足跡だらけです。
恐らくはあの弼馬温が犯人ではないかと思いますが
いまだはっきりはいたしません」
これを聞いた西王母娘々は、すぐさま玉帝陛下に上奏いたしました。
「今年ようやく私のところの蟠桃が熟しましたが
陛下にもまだ献上いたしませんのに、
花果山の大聖に蟠桃を数個盗まれてしまいました。
陛下、どうぞ大聖にお裁きを!」
上奏文を読んだ玉帝は激怒し、すぐに玉旨を下して孫行者に参殿させました。
玉帝怒りながら大聖に言いました。
「蟠桃は他の仙桃と異なり、蟠桃は三千年で開花し、また三千年にして実をつけ、更に三千年かけて実が熟す。こうしてようやく旬を迎えた蟠桃を、朕もまだ眼にしていない。というのに何故大聖は盗んでいったのだ?」
孫行者曰く、
「何のことだかさっぱりですな。
拙僧は三蔵法師、旃檀功徳仏に付き従って取経の旅を終え
一切の貧心を捨てました。
何で今更、蟠桃を盗むことなんか働きましょう?
拙僧はやっておりません。
なにかの間違いではございませんか。陛下どうか早計な判断は禁物でございます」
「いや、これはきっと大聖が盗んだに違いない。足跡だって残っておるのだからな。
大聖は仏弟子なのだから、西天へ引っ立てて如来殿にお裁きいただく」
そこへ大臣たちが奏して申しました。
「臣共は、大聖は取経という成果を得て仏道に帰依したと聞き及んでおります。
それにあの三蔵法師、玄奘殿の弟子なのですから
こんな悪さをするはずはありません。
なにか裏があるのではないでしょうか。
陛下、どうか大聖を西天まで引っ立てて問い詰めることはなさらないで下さい。
もしも一ヶ月待ってみて真犯人が見つかればよし
見つからなかったら、その時こそ西天に連行しても遅くはございません」
玉帝も百官の諫言を聞いて、渋々承知しました。
「皆がその様に申すなら、ひとまず大聖を許す故、大聖そなたは真犯人の行方を捜して参れ」




