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南 遊 記  作者: 原 海象
23/32

第二十三回 華光 東岳廟を放火する

初めまして!原海象と申します。


今回は 中国四大遊記の一冊である神魔小説『南遊記』の二十三回目を編訳したものを投稿致しました。

なお、原作のくどい話やあまり馴染がない用語や表現はカットしております。

原作は明から清の時代に書かれたとされております。

また本書は別名は「五顕霊官大帝華光天王伝」といいます。

<南遊記>


第二十三回 華光東岳廟を放火する


東岳聖帝のやつ、どうして俺を陰司(地獄)に行かせやがったんだ! これじゃあ俺は人に「あいつは天界を騒がし、下界も騒がし、更には陰司(地獄)も騒がせた」と言われ、皆は俺を「三界を騒がせた奴」と呼ぶだろう。よし、こうなったら東岳廟に火を放って焼いちまおう



 さっそく華光は東岳廟の門下までやって来て三昧真火を放ちましたが、一向に火が起こりません。華光が見上げると、屋根にいる両頭蛇が黄砂を吐き出して三昧真火を消してしまうために、火が起こらなかったのでした。


華光は苛ついて、金磚きんせんを投げつけました。

両頭蛇が逃げ出したところで、再び華光は三昧真火を放とうといたします。

ところがその様子を喪門吊客・哭殺神官という二人の悪神兄弟がそれを目撃していました。


喪門吊客・哭殺神官の悪神兄弟二人が話し合うには

「奴のような極悪非道は誰にでもどうすることもできまい。そこで、私とお前の二人でこの法宝紙棺材を持っていこう。華光に三度泣きかけて、奴が泣き死んだらこの棺桶に入れて玉帝陛下に引き渡する。そうすればご褒美をいただけるし、奴が下界を騒がすこともなくなるぞ」


 二人は相談し終えると、さっそく華光のいる門までやって来ました。

喪門吊客・哭殺神官は華光に言いました。

「貴様、どんな理由があってそのような悪さをする! 東岳聖帝はちっとも貴様を恨んでいらっしゃらないのに、なんだって貴様は東岳廟を焼こうとしたりするのだ!」


 華光は白蛇槍を構えながら言いました。

「お前ら二人に何が出来る?」

「貴様が我々の言うことを聞いてすぐに去れば良し、だがもし去らねば、我々が貴様を焼き殺すぞ」


「そう言えばお前らは泣いて人を殺すそうだな! 俺を焼くと言うなら、まずは貴様らが泣いて俺を殺してみたらどうだ?」



 二人はこれに応え、大きな泣き声を上げました。


途端に華光は意識がとびかかり、めまいを感じ、ついには泣き死んで地面に倒れ伏してしてしまいました。


 悪神二兄弟は華光を担いで棺桶に入れ、玉帝陛下に引き渡しに行こうとしました。


ちょうどそこへ偶然にも朝真山洪玉寺の火炎王光仏(勧善大師)がやって参りました。

火炎王光仏(勧善大師)は二人が棺桶を担いで行こうとするのを見て尋ねました。


「お前さんたち兄弟は、誰を率いていくのかね? どこへ行こうとしとるのかね?」



 喪門神そうもんしんのような悪神兄弟は言いました。

「この華光が東岳廟を焼きに来たので、私たちが泣き殺してやりました。

 そして、この遺体を玉帝陛下に引き渡してご褒美をいただくのです」


火炎王光仏(勧善大師)は思うに、こ奴等、今私に会わなければえらいことになっていたの。

よし、私が華光を助けてやるとするか


 そこで火炎王光仏(勧善大師)、このような嘘を申しました。

「お前さんたちは、この華光という奴の身分を知っておるのかね?」

「いいえ存じません」

 兄弟二人は口をそろえて言いました。


これに対して火炎王光仏は諭すように言いました。

「華光はなんと玉帝陛下の外甥なんじゃ、お前さんたちが玉帝陛下のところに華光の遺体を引っ張っていったら玉帝陛下は怒り狂って、こうおっしゃるであろう。


『貴様ら良い度胸だ、貴様は朕の外甥を泣き殺しよったな』と。


そして玉旨によってお前さんたちは捕まり、殺されてしまうだろうな。さあどうするかね?」


 兄弟はこれを聞いて驚き、

「お優しい和尚様、あなた様のおっしゃるとおりだとすれば、我々は一体どうしたらよいのでしょう?」


 火炎王光仏(勧善大師)は、一計を企んでいました。

華光は火の化身だから、火を見ればきっと目を醒ますだろう。

ここは奴等を騙して火を放たせ、棺桶を焼き払ったら華光も逃げ出せるだろう。


 そこで火炎王光仏(勧善大師)は二人に申しました。

「まあ、棺桶に火を放って焼き殺してしまうことだな」


 二人兄弟は火炎王光仏(勧善大師)に三拝九拝して、

「教えて下さって有り難う御座いました」


 ここで、火炎王光仏(勧善大師)は笑いを堪えて二人と別れました。


 悪神二兄弟は、

「ここであの方にお会いできなかったら、今頃私たちは地獄への道をまっしぐらだな」

などと話しながらただちに棺桶に火を放つと、火に焼かれて華光は目を覚まし、金磚きんせを二人に打ちつけました。打たれた兄弟たちは逃げることができませんでした。


あの兄弟たちは金磚きんせんに頭を打たれて脳髄が破裂し、火炎王光仏(勧善大師)を罵り、泣き喚きながら去っていきました。



 華光は火炎王光仏(勧善大師)が助けてくれたことを悟ると服装の乱れを整え、師父に深謝する為に朝真山へ向かいました。


 さて火炎王光仏が部屋にいると、突然華光が挨拶をしにやって参りました。

火炎王光仏(勧善大師)曰く、

「弟子や、お前も物の通りを知らんね。

お前が母親を捜し出したいなら、何で私に尋ねずに、陰司(地獄)に行ったりするのだ?」



 華光は拝礼して言いました。

「私は慌てておりましたので、師父に伺うことを思いつけませんでした。

今幸いにも師父にお会いできましたので、おたずねいたします。

私の母は今いったいどこにいるのでしょうか?」


火炎王光仏(勧善大師)は、指を折って占うと

「お前の母親は竜瑞王に拘束され、日中は銅の棍棒で三十回打たれ、

夜は鉄の棒に縛り付けられているのだよ」


 

華光は母上が苦しんでいることを知ると、声を放って泣き喚き、

師父に別れを告げて離婁山へ返っていきました。


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