終末少女らの未来
題名はこの先で変わる可能性があります。
(仮)ということで、よろしくお願いします。
「みんなのため」
きっと、そんな理由をつけて頑張っていたかった。
「みんなのおかげ」
きっと、そう言って讃えて欲しかった。
「みんなの思い」
きっと、それらしいことを言って〝英雄〟になった気でいたかった。
今になって、改めて思う。
結局のところ頑張った対価を……自分が満足できるような見返りが欲しかったんだろうと。
誰も望んでいないのに、誰もそんなことを言ってないのに、誰もそんな無謀なことを願っていないのに、自分がやるべきだと身勝手に考えて死ぬ気で頑張る。
「あぁ……なんて馬鹿らしい」
もう羞恥の感情すらも沸いてこない。
残ったのは、空っぽになった〝心〟と呼ばれるソレ。
成し遂げても、成し遂げていなくとも、賛否の声は聞こえない。届いたのは誰かが畏れた震えた声音が騒音で、それが夢の中でも鼓膜を揺らす。
「化物」
「怪物」
「魔王」
「人類の敵」
もはや、存在することすらも周りからは許されていない。
まるで……かつて自らが倒した魔王のように、存在悪として認知され始めているまであるようで、人類の生存圏内から抜け出したのは言うまでもない。
ただ、向かう場所は限られていた。
かつて激しい戦闘が行われていた傷跡がある戦場。強い魔力を持った者でない限り、肌や臓器を焼き尽くすような痛みが襲う〝瘴気〟が漂う〈暗黒大陸〉。
勇者……または英雄と呼ばれていた者と、魔王……または人類の敵と呼ばれていた者らが戦った場所であり、止まっていた歴史が動き始めた場所でももある場所。
そんなところに独り、たった四人で暮らす者たちがいた。
その者は「勇者」と呼ばれ、
その者は「剣聖」と呼ばれ、
その者は「賢者」と呼ばれ、
その者は「聖女」と呼ばれた。
全員が女で組まれた人類の集大成。
彼女らに勝てる存在など、この世にはいないだろう。
そう言える程に、彼女らは次元が違った。
「ようやく完成した」
四人で暮らすには狭い小屋、真ん中に小さな丸テーブルがあり一本の蝋燭で部屋を照らしている。
表情はまでは互いに見えていないだろう。蝋燭の灯に影が出来ないように「賢者」が指先から魔力を放出した。
「成功率はどれほどでしょう? まぁ、この際ですから失敗してもいいですが」
常時、瘴気を弾き返しているような強い魔力を持つ彼女らの中でも最も清らかな魔力を持っている「聖女」と呼ばれていた者は、期待もせずに「賢者」に返答した。
他の二人は、声すらも出さないまま話が進んでいく。
「何年費やしたと思ってる? 私なんだから失敗するはずがない」
圧倒的なまでの自信。
他者かの意見など受け付けるつもりが毛頭ないような言い方だが、「聖女」と呼ばれていた者は薄く笑って頷いた。
「当然、貴方が失敗するとは思っていないわよ。ただ、私たちが一緒にいれる成功率を聞いているの」
「それも踏まえた百パーセント。失敗はない」
「なら今すぐやろう。私たちはこの世界に未練はない」
「……最後の言葉――――は、言ってあげる必要もない」
「賢者」の指先が強い光を放つ。
その四人以外は誰も辿り着くことはない場所で、その四人以外は誰も知らない場所で、その四人は姿を消した。
残されたのは、暗い雰囲気を残した一軒の生活感のない小屋。
きっと、未来永劫……誰もその場所に辿り着くことはないだろう――――。
取り合えず、一話。
早いうちに二話目を……投稿したいなぁ