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2月14日

作者: 日下部良介

 毎年のことなのだけれど、年甲斐もなくワクワクする。何人からも貰えるわけではないのに。


 2月14日。

 バレンタインデー。


 せいぜい義理チョコを一つか二つ。それでも貰えると表情が緩む。

 最近はこういった義理チョコを渡すという風習もなくなってきた。数年前までは、おそらくいくつものチョコが入っているのであろう大きな紙袋を抱えた女の子を通勤途中に何人も見かけた。今はほとんど見かけない。


「どうぞ」

 今年も会社の女の子から一つ貰った。もちろん義理チョコだ。まあ、それで十分だ。

「バレンタイン?」

「はい」

「ありがとう」

 相手もお返しなど期待してはいない。その程度の軽い気持ちのものなのだ。



「パパすごいね」

 まだ子供たちが小さい頃は家族にそんな言葉をかけてもらいたくて、きれいなお姉さんが居る店をハシゴして高い酒を飲み、安っぽいチョコを集めて帰ったものだ。今ではそんなチョコを持って帰ろうものなら冷ややかな目で見られるだけだ。

「それって一つ貰うのにいくら使ったの?」

 返す言葉もない。



 今ではもう寄り道をして帰ることもない。娘が手作りチョコを用意してくれているから。もちろん、これも義理チョコなのだと思う。ただ、これが一番うれしい。




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