信長公記は読んだ方がいいぞ
信長公記は読んだ方がいい。
私はいったい何を回り道をしていたんでしょうか。
ダントツで知りたいことが書かれている超優秀な資料です。
まず、作者の太田牛一は織田信長と同じ時代を生きた人。のみならず、織田信長に直接仕えた人でもあります。
内容が濃ゆい!
これまで時代小説読んでて出てきたエピソード。
例えば信長が狩りをするときに百姓役の人間を用意して、獲物を油断させた。とかのエピソード。
こういうの、作者はどうやって思いつくんだろうと思ってましたが、その原点はここでした。この信長公記にしっかり書いてある。まさかの実話ベース。
私が知りたかった三木合戦の話や、荒木村重謀反の顛末もしっかり書いてある。
個人の書いた記録という形なので、難しい文学的な表現は滅多に出てきません。文学的な文章だと現代語訳にしてもよくわからないってことがあったりするけど、これは元々簡素な文体で書かれているのか、現代語訳もすっきりしてて読みやすいです。
現代語訳された本も複数あります。
戦国時代の戦いの顛末のみならず、身近にあった事件を書き記してあったり、娯楽や式典はこんな感じだったと書かれてたり、戦国時代の空気がしっかり伝わってきます。おもしろい。
相撲と鷹狩りの頻度がすごいです。好きだったんだねえ。宮中で蹴鞠を見学したとかもあって、武士と公家の交流もちらちら見えたり。
作者の太田牛一が信長贔屓なのか、ときどきすごい褒め称えてて、推しを語る人を見てる気分にもなって、ふふっと変に笑顔になってしまいます。
私のお気に入りエピソードは将軍義昭に信長が書いた嫌味がキレキレの苦言のお手紙。
他にも、胡散臭い商売をしている坊主を呼び出して、出身地を聞き出して答えが「無辺です(無限の世界です)」だったので、こいつ妖怪かもしれないから火であぶってみようぜとか言い出したり。信長キレキレですね。そりゃあ、ファンが多いわけだわ。
戦国時代の人間の感覚と現代人の感覚はやっぱり全然違うと思わせるエピソードもあります。
こういうのも、作劇では結構役立ちそうです。
例えば、人間が立たせられる深さに穴を掘って、首から上だけを出させてその首をのこぎりで……とか。
浅井長政の首を金箔銀箔で飾って宴席でお披露目して楽しんだとか。
信長の家臣の名前も、他のどんな書物より大量に出てくる。公家の名前も、他領の人間の名前も相撲取りの名前も、大量に出てくる。茶道具の銘物の名前も、安土城の間取りも出てくる。
こいつはすごい資料です。
同じ太田牛一作の太閤さま軍記のうちも読まねばならないと思ってるとこです。この太閤さま軍記のうちはまさかのkindleunlimitedで読める。
戦国時代を書きたいなら、まず読んどいて損はない一冊がこの信長公記です。