危機一髪、間一髪4
垢持ってるのに使わないなんて宝の持ち腐れじゃないか!!
まあいい。今考えてわかることじゃない。
意味のわからない言語を話されて困る方が嫌だし、ラッキーだと思おう。
自分の気持ちを高めて、看板の先へと入っていく。
奥に入っていくと、だんだん暗くなっていった。木々が生い茂っていて、土は少し湿っている。
ぬかるみに足を取られ体力を奪われながらも、何とか進んでいく。
もっと楽な道だと聞いていたが......。
いや、ここは村に繋がる道なんかじゃない。林だ。警戒心が薄すぎた。
木へんの漢字なんていくらでもあるのに、なぜ自分の都合のいいように村と解釈してしまったのだろう。
きっと、あの警察官が近くに村があるとか言ったせいだ。嘘だ。僕が地図をよく見なかったからだ。
疲労が溜まってきたところで遠目に人工物を見つける。吊り橋だ。
かなり奥行きがあって、架けられている下には建物二階ほどの高さがあり、ゲームなどでよく見る狼、スライムのような化け物がうじゃうじゃいる。
「くっそ、もっとサクサク進むと思ってた......」
舐めてた、異世界。僕が見たラノベでは転移者は特別な能力とか持ってたりしたんだけどな......。
吊り橋の手前で少し休む。額に汗が滲んでいた。予想以上に疲れている。
この崖の下に落ちたら生きて帰れないだろうな。
辺りにはあまり魔物はいないって言ってたじゃないか。林は例外か?
心の中で愚痴を言っていると、後ろからぬちゃぬちゃと何かが近づいてくる音が聞こえる。
振り向くと気色の悪い緑色のスライムがこちらに向かって這ってきていた。