プロローグ4
「うーん、君の身分が明らかじゃないが、怪しい者でもないみたいだからどうしたもんかなあ」
「身分って、制服見てくれれば......」
「その奇妙な服のこともあって悩んでいるんだがね」
奇妙な服ときた。どういうことだろう。制服というのは、学生が身分を証明するのに使うものだろう。
それなのにどうして悩む必要があるのか。いよいよ頭がこんがらがってきた。
席に座って僕の方に向き直り、彼はこう話す。
「とりあえず身分がわからないことにはこの街には居させられない。かと言って無責任に街の外に放り出してしまうようなことも私たちにはできない。だから君には冒険者ギルドに行って、カードだけ発行してもらう。それさえあれば大体の町には入れる」
「冒険者ギルドってなんですか? というかそのカードがあれば街に居ることができるんですよね? ならここにいさせてください」
「申し訳ないが今大事な時期なんだ。怪しい者ではないと分かっていても居させることはできない」
そう言われて、何も言い返すことが出来なかった。知り合いとすらあまり話さないのに、見知らぬ人に反論するのは骨が折れる。
どうしようか考えていると、半ば強引に建物から連れ出されてしまった。