プロローグ1
>>2部分
昼休み――それは僕にとって最も苦痛な時間。みんなが友達と話している中、僕は既に見飽きた外の景色を眺めながら昼食をとっている。
見たくて見ているわけではない。だが、そうせざるを得ない理由がある。
それは僕がぼっちだからだ。高校生活一発目、人と話すのが苦手な僕は自分から話しかけることはおろか、話しかけられても、うまく話が弾まず友達ができなかった。
勇気を出して話してみようと思った時にはすでに遅く、みんなはそれぞれのグループを作っていた。
結局僕はどこの輪にも入ることができずにずるずるとぼっち生活を送ることになってしまったのだ。
いじめられてないだけいいのかとも思うが、やはり集団の中での孤立は苦痛だ。
いつも通りの暗い気持ちの中、俯いて米を頬張っていたその時、勢いよく、教室の扉が開く音がした。
騒がしかった教室が静まり返ったので気になって前を見てみる。
そこには右肩のあたりに血がついており、つぎはぎだらけの布を見に纏っている、狐のお面をつけた怪しげな人が立っていた。
皆の注意が自分に向いたことを確認すると、狐面は右手を前に出す。指でなぞったところに青白い光が浮かぶ。何か文字を書いているような動きだ。
瞬間、窓から放り出されたような感覚に陥る。無重力。体の制御が効かない。何が起きたのか理解できていないまま、視界が暗転する。