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4森の中で
今回かなり短いですが、キリがいいので投稿することにしました。
「どうしよう……」
パーティを追放されてから特に行くあてもなく、ただ気の向くままにふらふら一人で旅をしていた結果、気づけばラノイは森の中を彷徨っていた。広大な森の中で、ラノイのこれまでの経験は全くと言っていいほど役立たず、生まれたての赤ん坊の様にしばらく森を眺めていた。
しかし、立ち止まっても一向に事態は前へ進まない。幸いにも太陽は真上に位置しており、見通しは悪くはない。それに、街を出るときに何日分かの食料も買い込んである。
ラノイは、よし、と気合を入れ直しひたすらに森を歩いた。
しばらくして、ラノイは木陰に腰を下ろし小休憩を取ろうとした。
その時、
ーーガサガサッ
前方の茂みから音が聞こえた。
ラノイは慌てて身構え、音のした方をじっと見つめる。その音はだんだんと大きくなる。
茂みの揺れが激しくなり、ついに、その音の正体がラノイの前へと現れた。
「た、頼む。何か食うものを……」
「…………え?」
そう言い残すと、男は地面に突っ伏すようにして倒れた。