キュリア3
私は二十歳になった。
象牙細工などを売る為に設立した商会も軌道に乗り、私は低レベルだが魔法武器を手に入れた。
そしてあの子が生まれた。
アリサ・ブルシュバーン、私の娘だ。
ちなみに私の旦那様はこの魔法武器を手に入れるために雇った傭兵だ。
準貴族の四男で、それほど魔力も高くなかったが、野性味あふれる筋肉とあの盛り上がりに一目惚れしてしまったのだ。
モンスターが出るこの地方では地位や顔より戦えることが優先されるため、父が反対することもなかった。
この子が生まれた時に私はシナリオを変えるべく、ささやかな抵抗を試みた。
「名前は花子なんてどうかしら」
「「・・・」」
キヨ、ヨシ、正子、フミ、清子、貞子、私がつけようとした名前は総て父と旦那様に却下された。
結局名前は亡くなったお母様が二人目に付けようとしていたアリサという名前に決まった。
まあ名前を変えたとしてもブルシュバーン家の長女で有る限り、運命からは逃れられない可能性が高い。
この子が生まれたことで魔王討伐のためのカウントダウンが始まった。
アリサがさらわれるのがいつかは分からないが、公式ホームページの情報で社交界に正式に参加しているので下は十五歳、上はとゲーム内の見た目はあれな表情なので当てにならないが、○○夫人ではなく領主の長女と書かれていたから行き送れと呼ばれる二十二までだと推測する。
今のこの武器で魔王に挑むのは自殺行為だ。
剣タイプの魔法武器で二強と呼ばれるのはエクスカリバーか天叢雲剣だが、後者は隣国の宝剣なので未発見の遺跡にあるはずのエクスカリバーを手に入れたい。
いくつかの場所はゲームのイベントで行ったから、ある程度は場所が分かっている。
出来れば防具もそろえたい。
ま、最初は地道に近場からかな。
どうせ一人で魔王を討伐に行くのは無理だし、そこに行く為には何ヶ月も森の中を進まねばならないので全員分の武器をそろえたい。
「セバスチャン、この辺りに遺跡が有ると私の勘がささやいた。十人ほど人を集めてくれ」
「かしこまりました奥様、それとわたくしめの名はゴンドルにございます」
「知っている。そんなことよりセバスチャン、我が家の戦士の選抜を頼む」
「・・・かしこまりました」
執事と言えばセバスチャンなのは当然だと前にも言ったのだが細かい男だ。