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俺は大剣使いの美少女  作者: 天海
第12章 俺と私の転移の真相
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第2話

「俺が知ってる話には、あんな会話なかったんだけど……これって、何か余計なことしたりしちゃったのか……?」


 他のみんなに聞かれないほど離れた場所に移動した俺は、連れてきたアキにそんな疑問をぶつけていた。

 というのも、俺が知っている限り、ヴァルヴァラがどうやって生まれたのか――という疑問をわざわざ会話イベントを使って説明していた記憶はないからだ。この後に自由時間でニールが軽く状況を説明されはするが、本当に軽くだ。魔王が実験して生まれた存在だということや、その実験の詳細までは説明されることはなかったのである。

 が、アキは特に動じた様子もなく、なにか納得したかのように、「ああ、ハルさんは二周目はしていないんでしたね」と口にして微笑むのだった。


「大丈夫ですよ。これは、二周目以降限定のイベントなんです」

「あ、そうなのか……じゃあ、これはゲーム通りなんだな……?」

「ええ、その筈です」


 “二周目以降限定のイベント”などという羨ましすぎる事実を突きつけられて少しショックではあったが、ちゃんとゲームにある展開なら安心である。リメイク前は公式の攻略本でしかヴァルヴァラの誕生秘話は明かされなかったが、リメイクでしっかり回収していたことに感心すると同時に、二周目をやりたいから早く帰りたいという、ある意味望郷の念のようなものを久々に感じてしまったのは難点だったが。


「この先も隠しダンジョンがありますが、それ以外は、一周目とはそれほど変わりませんよ」

「隠しダンジョン……わかった。ありがとう」


 俺達が来てしまったこの世界はゲーム二周目以降の世界かもしれない、という事実に気付いてしまったことは少々不安ではあるものの、二周目の展開を知っているアキがいるなら大丈夫だろうと高を括った俺は、それなりに心を軽くしてニールの家に戻ったのだった。


 ◆◆◆


 家に戻ると、既に打ち解けたらしい一同は、茶を啜りながら(どこから持ってきたのか)お菓子をつまんでいる最中だった。なんでそんな揃いも揃って呑気なんだ、と俺が突っ込んでいいものか悩んだが、仕返しにつつかれて痛い目を見るのは俺だから、ここは黙っておくことにする。


「あ、やっと戻ってきたわね。もう一回本拠地に行ってみようって話になったんだけど、ふたりもそれでいい?」


 黙って外に出ていた俺達の分の茶とお菓子を渡されながらそんな話を聞かされたが、ここの流れ自体に大きな変更はないらしい。アキの言葉が嘘じゃないと分かって安心した俺は、どっかりと椅子に座った。


「ヴェロニカさんの魔法で、連れて行ってもらおうってことになったんだ。またあの山道を通ってる間に攻撃されたら、今度はどうなるかわからないし」

「いいんじゃないか。そろそろ何とかしないと、他の町も大変だろうしな」

「ええ、私も同じ考えです」


 ヴェロニカの転移魔法なら、魔王に邪魔をされる前に本拠地に近づくことは容易い。それであそこまで行かせてくれるなら、こっちとしても願ったり叶ったりというやつだから、拒否する理由はなかった。

 まあ、問題があるとすれば、このまま行くと自分が何でこの世界にいるのか分からないまま、このゲームをクリアしてしまうということだが、焦ってもどうしようもないのは今まで十分に分からされている。なら、ここは大人しく流れに身を任せるしかないだろう。


「よかった。じゃあ、エディさんが落ち着いたら準備しよう」


 未だベッドで大人しく寝ている重要人物の回復を待ち、俺達は休息を取ることになった。

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