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レーゼル家

その日に書いているから、書きためとかないんです。


出来るだけ更新はしますが、時間は不定期になると思います。


 子供を他家に預ける理由はいくつかある。


 厳しく育ててもらうのも大事な理由の一つだが、もう一つは家同士の繋がりを作るためだ。


 しっかりした家に子供を預け、ついでに縁を作ってお付き合いを開始する。


 元から縁のある家に預ける場合もあるが、とにかく修行の第一段階はとても重要だ。


 執務室、今日も天城のサポートを受けながら楽をしながら仕事を終わらせた。


 メイドロボって優秀だな。


 事務処理がとても簡単に終わる。


 帝国では、人工知能やメイドロボを使っての統治はあまりお勧めされない。


 それは、昔に人工知能やロボが反乱を起こしたとか、そんな理由で最低限の使用にとどめられているからだ。


 本来なら、部下や家臣を用意するのだが――バンフィールド家はどちらも少ない。


 祖父母、両親のせいだ。


 俺から見ても、祖父母と両親はとにかく酷い。


 領地のことなど見向きもせず、帝国首都星で贅沢三昧な生活を送っている。


 ただ、そんな祖父母と両親なので、見捨てても俺の心が痛まないという素晴らしいメリットもあるのだ。


 これも案内人の心配りの一つだ。


 あいつは、いつも俺を見守っているかのように助けてくれる。


 アフターフォローの充実も信条らしく、とても頼りになる存在だ。


 今日も感謝しておこう。


 そう思いながら背伸びをすると、天城が報告してくる。


「旦那様、修業先が決定しました」


「あ、決まったの。で、どこ?」


 椅子に座り、まだ大人になりきらない体で椅子を回しながら遊ぶ。


「――あまり興味がなさそうですね」


 どこか残念そうに見える天城に、俺は他家での修行などどうせふりだけだと教えてやった。


「実情を知れば興味もなくなる。今は他家の子供を受け入れて、贅沢な暮らしをさせて数年間預かるだけだろ? ブライアンに両親の話を聞いたら、とても修行期間とは思えなかったね」


 ちなみに、俺の父親は他家で三年間遊びほうけていたらしい。


 現在は、そうした家がほとんどだ。


 修行など、やりました、という実績があれば良いのだ。


「そういった修業先をお好みでしたか? 早く言っていただかないと困ります。既に修業先の家との話し合いまで終わってしまいました。ここから、キャンセルした場合、旦那様の名前に傷が付きますよ」


「どうせどこも同じだろ。大金を渡せば、喜んで俺を迎えてくれるさ。ま、他人の家で居心地が悪いだろうが、三年くらい我慢してやる」


 修行というのも名ばかり、というのが現在だ。


 まともに修行をしている家は少ないのではないだろうか?


「ただ、うちはその辺りを厳しくしよう。何を好き好んで、俺が糞ガキ共を接待しないといけないのか」


 将来受け入れるガキ共には厳しくしてやる。


「旦那様のご命令ならそうしますが、受け入れることになる者たちは小領主の子弟たちになります。男爵家以上の事情とは異なってきますよ」


「細かいところはお前とブライアンに任せる。好きにしろ」


 俺は威張り散らせればいいので、それ以外は天城やブライアンに丸投げだ。


「ところで、俺の修業先はどんな家だ?」


「レーゼル子爵家です。修業先で人気も高く、毎年のように何十人と受け入れている家ですね。資源がとても豊富な衛星や惑星を所持しており、加工技術に優れていると評判の家です」


 天城の説明では、とても裕福な家のように聞こえる。


 だが、問題もあるようだ。


 豊富な資源を持っているが、居住可能惑星が少ない。


 宇宙にコロニーなども用意しているようだが、新しい惑星に入植するにも周囲を他の領主に囲まれ出来ないのだとか。


「子爵家は精強な軍を所持していますが、その数に限りがあります。他家との交流を重視しており、その姿勢が修業先の受け入れとして人気となった原因かと」


「うちも居住可能惑星は一つだぞ?」


「当家は発展性がありますが、子爵家は頭打ちですからね。それに、開拓可能惑星は既に確保してありますよ」


 俺がその気になれば、すぐにでも入植のため準備をするそうだ。


 だが、困ったな――まだ、本星の開発が終わっていないのだ。


 それなのに、他に手を出すと本星の開発が遅れてしまう。


「本星もまだ開発途中なのに、他に手を出すのはちょっと――」


「リアム様は、数年もすれば本格教育が始まり、領地を離れますが?」


 俺がいない間に、他を開発すればいいじゃないと天城が言うので納得する。


 ――それもそうだな、って思ったね。


「うちの方針はそれでいいとして――レーゼル子爵家か。どんな接待をしてくれるのか楽しみだ」


「その前に、カプセルでの教育とリハビリを急ぐ必要がありますね」


「――またかよ」


 この世界、教育カプセルというものがある。


 子供を放り込み、数ヶ月から数年放置すればあら不思議!


 肉体は強化され、知識が頭に詰め込まれるのだ。


 もっとも、その状態で全てが終わるわけではない。


 外に出てリハビリと、詰め込んだ知識の復習を必要としている。


 やる意味などないと思われがちだが、やるとやらないでは大きな差が出てきてしまうのだ。


「しばらく眠るのか」


「今回は短い期間です。寝ている間は、この天城にお任せください」


「頼むぞ」



 レーゼル子爵家の本星。


 当主の【ランドルフ・セラ・レーゼル】子爵は、会議室で家臣たちを集めていた。


 来年、再来年に訪れる貴族の子弟を確認している。


 表示されたデータには、子弟を送りつけてくる貴族たちの実家がどれだけ資金や資源を提供したかというものもある。


 レーゼル子爵家にしてみれば、子弟の修業先として受け入れを行っているのは縁作りもあるが、商売のようなものだった。


「――ふむ、来年度に目だった人材はいないな」


 優秀な子弟なら、縁を結ぶ価値もある。


 力を入れて関係を強化しようとするが、それ以外――実家の実力もなく、本人に才覚もないのなら相応の扱いをするだけだった。


「ランドルフ様、先の話になりますが、エクスナー家の嫡男が当家に修行に来るそうです。随分と贈り物を積み上げております。本人の才覚もあるようですよ」


 だが、ランドルフは、そんなエクスナー家のデータを見ると興味を失う。


「――成り上がりでは縁を結ぶに値しないな」


「で、ですが、エクスナー家は今後発展すると思われます」


「発展してからなら考えるさ。受け入れる子供の才覚など二の次だ。大事なのは家同士の繋がりだからな」


 付き合うに値しない。


 だが、積み上げた対価はありがたく受け取る。


 会議室で今後の予定を話し合っていると、急に全員の動きが止まった。


 丁度、リアムのデータを確認するところだったのだが――。


「ふひ、ふひひひ!」


 会議室のドアから、案内人が現れる。


 ドアを開けず、ドアから体が生えてきたように登場すると、リアムのデータを確認するのだった。


「ついに復讐の時が来た。さて、リアムのデータは――!?」


 データを見て案内人は驚いてしまう。


 用意した資金、資源がとんでもない量だった。


 天城やブライアンが、無理をしてでも用意したのは、それだけ大事に扱って欲しいという願いがあるからだ。


 そして、本人の資質に関しても、高い評価を得ている。


 帝国首都星で、海賊退治を認められたのが理由のようだ。


「くっ! 忌々しい! だが、ここをこうして」


 案内人がデータを改竄(かいざん)する。


 だが、以前のような力のない案内人には、好き勝手に改竄できなかった。


「――これも全てリアムのせいだ。この私が、悪戯程度の仕返ししか出来ないとは」


 偶然見つけた、資料に【ペーター・セラ・ピータック】という名前を見つけた。


「――おや?」


 調べると、リアムと同じ伯爵家。


 しかし、評価は全ての面で低い。


「よし、こいつのデータと入れ替えるか」


 結果、リアムの調査結果は酷いものになった。


 案内人が時間を動かす――というよりも、思考速度を落とす。


 時間を止めているわけではない。


 動き出したランドルフたちには、案内人が見えなかった。


「次は――こいつは酷いな」


 ランドルフが目頭を指で揉む。


「毎年必ずいますね。当家と縁を結ぼうとするハイエナですよ。ランドルフ様、修行を断りますか?」


「既に受け入れると返答している。今から拒否すれば、当家の名に泥を塗ることになる。受け入れはするが――扱いは成り上がりや騎士家の子供と同じでいいだろう」


 首都星で勲章をもらったリアムだが、帝国は規模が大きすぎて――情報が行き渡らないことも多かった。


 首都星で勲章をもらう人間は多く、その一人一人を覚えてはいられない。


 案内人がお腹を抱えて笑い出す。


「せっかくの修業ですからね。楽しんでもらわないとね! おっと、更なる仕込みをしないといけませんね。しばらく力を溜めておかないと」


 案内人が会議室の壁をすり抜け、いなくなるとランドルフたちもリアムに興味を失い他の子供たちのデータを見ていた。



 ――帝国首都星にある国立大学。


 そこに通うのは、【クリスティアナ・レタ・ローズブレイア】だった。


 帝国騎士資格を得るために、大学に通っている。


 騎士の資格を得るためには、最低でも二十四年の歳月がかかる。


 士官学校と、その後の軍役で十二年。


 大学と、その後の実務――役人として働き十二年。


 それが終わり、初めて騎士資格を得られる。


 生まれながらの貴族は、更に幼年学校で六年を過ごすことになるのだ。


 外国出身のクリスティアナ――ティアは、幼年学校に入る必要がない。


 亜麻色の長い髪。前髪は綺麗に切りそろえ、お嬢様という雰囲気がある。


 実際に亡国の姫で、そこで騎士の資格も持っていた。


 スタイルも良く、宝石のような緑色の瞳。


 淡いピンク色のふっくらとした唇。


 大学の校舎を歩いていると、大勢の視線を集める。


 そんな視線を気にも留めず、ティアは通信端末を手に取った。


「本星からの連絡?」


 ティアはリアムの騎士であるが、正式には内定をもらっているだけだ。


 権限はあまり持たず、今は留学生の一人という立場だ。


 そんな留学生たち向けに、本国から定期的に連絡が入る。


 教室に入り、席に着くと内容を確認した。


「リアム様の修業先が決定――レーゼル子爵家か。悪くないとは思うけど、無難すぎるわね」


 ティアには少し不満だった。


「出来ればもっと格上の家が相応しいわ。そうでないと、リアム様の格に釣り合わない」


 騎士としての忠誠心が突き抜け、ほとんど崇拝に近い気持ちをリアムに抱いていた。


 理由は――リアムがティアを地獄から救い出したからだ。


 海賊たちに捕らえられ、醜悪(しゅうあく)な肉塊とされていた。


 もう、人としての人生を諦めていたところで、リアムに救われ第二の人生を得たのだ。


 リアムのためになら死ねる。


 そんな覚悟を持っているのは、ティアだけではなかったりする。


 リアムに助けられ、そして騎士になるため帝国首都星に来ている若者は多い。


 多くが士官学校に先に進むも、ティアだけは大学へと進んだ。


 理由は、リアムが士官学校に入学する際に軍での影響力を強めたかったから。


 そのために、先に大学を卒業していたかった。


 内容を読み終わり、端末の画面が待ち受けになると――そこにはリアムの成人式での姿が映し出される。


 頬を染めるティアは――。


「あぁ、リアム様――今日もティアは頑張ります」


 ――極まった忠誠心を持っていた。



 商人の【トーマス・ヘンフリー】は、ヘンフリー商会の当主だ。


 バンフィールド家の御用商人である。


 そのため、リアムの修業先が決まった知らせを聞くと、慌ただしく準備をするのだった。


 部下たちに指示を出す。


「レーゼル子爵への贈り物は準備できたか?」


 部下が笑顔で答える。


「はい。子爵好みの品をご用意いたしました」


「そうか。リアム様へのご挨拶は私の方でするから、レーゼル子爵家と親しくするように。もしかすれば、長い付き合いになるかもしれないからな」


「子爵家の御用商人になるおつもりですか?」


「流石にそれはない。レーゼル子爵家は御用商人をいくつも抱えているからね。商売が出来るようになれば、とは思っているよ」


 バンフィールド家の発展と共に、ヘンフリー商会も大きくなっていた。


 後ろ盾に海賊狩りを得意とするリアムがいることもあり、小規模な海賊団はヘンフリー商会の船だと気付くと逃げ出してしまうほどだった。


 それもあり、商売はうまくいっている。


「それにしても、レーゼル子爵家か。評判のいい家だから、リアム様にはピッタリだな」


 レーゼル子爵家は武闘派ではない。


 どちらかと言えば、軍事力よりも商売に重点を置いている。


 トーマスには、そちらの方が重要だった。


 部下が報告してくる。


「子爵家には年頃のお嬢様がいるらしいですから、もしかしたら結婚話も出るかもしれませんね」


 それを聞いて、トーマスも笑った。


「お互いにメリットもあるし、話がうまくまとまるといいね」


 ――レーゼル子爵家には、リアムと同じ年頃の娘がいた。


ブライアン(´;ω;`)「――辛いです。ネタがなくて辛いです」

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以前読んでたけどブクマしてなかったから最初から読み直し中 作中にも書いては要るけど、 高度な文明な筈にも関わらず通信網はざるってヤバくないか? 一番重要な所だろうと思う インフラ等蔑ろにするなんて有…
[気になる点] >「うちも居住可能惑星は一つだぞ?」 これは他にも人が住める惑星がありますが、開拓されないという事でしょうか。 地球規模に置き換えると、国には土地がたくさんありますが、開拓村やらはまだ…
[一言] 設定が滅茶苦茶すぎてゴミ
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