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試金石

ついにご報告できる日がやって来ましたね。


オーバーラップ文庫様にて 「俺は星間国家の悪徳領主!」 が 「書籍化決定」 しました!


これも応援してくださった皆さんのおかげです。


ありがとうございます。


一巻は7月25日発売予定となっておりますので、書店や通販サイトにてご予約していただけると嬉しいです。予約――大事です。いや、本当に。


イラストレーターさんは 「高峰 ナダレ」先生です!


色々と詳しい情報は、活動報告にて書かせていただきます。


本日中には活動報告を更新する予定ですので、チェックしてもらえると嬉しいです。

 リアムが増税に踏み切った。


 理由もなく、ただ領民を苦しめたいというだけの増税だった。


 後付けで社会福祉の充実を言い訳にしているが、中身など何もない。


 こうした場合、目標もあやふやで役人たちが好き勝手に出来るため中身のない増税になってしまう。


 ただ――バンフィールド家では、大量粛清が終わった直後の話だ。


 政庁に勤める役人たちが、リアムの思いつきの増税に頭を抱えていた。


 何故なら。


「これは絶対に試されている!」

「我々に社会福祉の充実を丸投げにしてきたのは、試しているからだ!」

「ここで下手なことをすれば、我々も処罰されるぞ」


 リアムを裏切った役人たちは、当然のように処刑された。


 他にも、大小様々な罪を働いた役人たちが裁かれている。


 他領のスパイ、カルヴァンのスパイ、他国のスパイ……今まで見逃されてきた者たちも、大勢が処罰された。


 そんな状態でリアムが増税だけを言い、中身を役人たちに任せたのだ。


 社会福祉の充実を任された役人たちはこう考える。


「リアム様が納得する制度を用意しないと――殺されるぞ」


 古株の役人が青ざめた顔をして若い役人たちに昔の話をした。


「九十年近く前の話だ。リアム様は僅か十歳で汚職役人を一掃したことがある」


 若い役人たちは、聞いたことがある程度の話だ。


 実感していない者が多かった。


「リアム様は他の領主様たちよりも寛大で慈悲深いが、苛烈な決断が下せないわけではない。やろうと思えば、いつでも大鉈を振るうお方だ。それを、たった九十年で忘れていた」


 しばらく幸せな時間が過ぎていた。


 役人たちも油断し、私腹を肥やす者も出てきた。


 だが、古株の言葉に周囲の役人たちが息をのむ。


「む、昔、そんな話を聞いたことがあります」

「子供の頃に役人が大量に処罰されたと聞いていましたね」

「あの頃はもっと酷かったから、やるしかなかったのでは?」


 自分たちにも同じ事をする、とは考えていなかったようだ。


 古株が俯く。


「中身のない役に立たない制度を作れば、リアム様が今度こそ我々を粛清する。あの方はやると決めたらやる人だ。この制度で余計なことをする者が出れば、全員が殺されるぞ。領内の統治は、人工知能に任せれば済む話だからな」


 役人たちもどこかで気付いていたのだ。


 リアムがその気になれば、自分たちを排除して人工知能に統治を任せるだろう、と。


 自分たちには代わりがいる。


 それを思い出した役人たちが、本気で仕事に取り組んだ。



 バンフィールド領に住む一般家庭。


 祖父母、両親、子供が三人という家庭だ。


 七人が食卓を囲んで、増税について話をしていた。


「社会福祉の充実か――リアム様が言うなら本当だろうな」


 父親がそう言うと、祖父がお茶を飲みながら頷く。


「間違いないな。あの人は名君だ」


 絶対の信頼を見せる祖父母と両親に、過去を知らない子供たちが怪しむ顔を向けていた。


 長女が四人の意見に水を差す。


「でも、実際どうなるか分からないよね?」


「そうか。お前たちは知らないのか。授業で習っていても実感はないんだな」


 バンフィールド家の領民たちは、リアムの意向で義務教育期間が定められている。


 九年と長いようで短い期間だが、教育カプセルを使えるので領民全てが大学まで卒業した学力を身につけられる。


 その先に進むのも容易になり、義務教育が終わった後に学校に通える子供たちが増えていた。


 祖父母と両親たちは、そのために子供たちが実感できずにいると考える。


 子供たちは五十歳にも届かず、まだ成人していない。


 見た目は十歳前後だ。


 バンフィールド家の暗黒とも呼ばれる時代を知らなくても仕方がなかった。


「リアム様が領主になられるまで、この領地は本当に酷かったんだぞ。意味のない重税に、職もなく戦争になれば強制参加も珍しくなかった」


 あの頃は本当に酷かったと、祖父が暗い表情になる。


 子供たちはそれでも怪しむ。


「それって意味があるの? 領地は発展させた方が貴族様もお得だよね?」


 当然の考えだが、世の中を知らない子供の戯れ言だと父親が言う。

「お前たちが将来、バンフィールド家以外の領地を見て同じ事が言えたらいいな。それが出来るお貴族様は少ないんだよ」


 子供たちが理解できない顔をしていると、祖母が食事を再開するように促した。


「せっかくの料理が冷めるからさっさと食べなさい。リアム様に限って、変なことになることはないから安心すればいいわ」


 祖父母や両親のリアムに対する信頼に、子供たちは少し危険なものを感じるのだった。



 バンフィールド家の軍部も大騒ぎになっていた。


 リアムが再編した初期から付き従っている軍人たちよりも、後から追加で補充された軍人たちの不正が多かったのだ。


 中でも、一番許されないのが――。


「海賊と内通していただと!」


 ――宇宙海賊と内通していた者がいたことだ。


 バンフィールド家にある軍の士官学校を卒業した大佐が、海賊たちを見逃す代わりに賄賂を受け取っていた。


 金やら高価な品を受け取り、それを仲間に配っていた。


 最近、リアムが海賊相手に自ら戦わなくなり、気が緩んでいた軍人たちも多い。


 また、海賊たちがバンフィールド家を恐れるあまり、下手に出てくるため気が大きくなった軍人もいた。


 上層部はこの事実に震える。


「ば、馬鹿なことを」

「リアム様が知れば激怒されるぞ」

「だが、報告しなければ我々の首が物理的に飛ぶぞ」


 将官たちが怯える理由は、リアムが海賊に対して一切容赦しないためだ。


 初期から軍隊を支えてきた将官たちは、戦場でのリアムの苛烈さを知っている。


 海賊を絶対に許さないリアムが、部下たちが見逃していたと知れば激怒するに決まっている。


 調査をした結果、佐官クラスが大勢関わっていた。


「海賊と内通していた者たちは全て銃殺刑にしろ」

「取り調べはどうする?」

「手荒でも構わない。徹底的にやれ!」


 リアムが領内をまとめ、九十年以上が過ぎようとしていた。


 軍部は更なる引き締めが必要であると考え、この際だからと徹底的に調べ上げることになる。



「思ったよりも馬鹿共が少なかったな」


 執務室で各所から上がってきた報告書を読み、呆れてしまった。


「横領、賄賂、海賊との内通――ま、こんなものか」


 人間など最初から信用していない。


 むしろ、想定していたよりも少ないくらいだ。


 天城が三時のおやつを持ってくるので、受け取って話をする。


「他所と比べればバンフィールド家は非常に優秀だと判断します」


「いいことだ。ま、俺の手足となって動く連中くらいは大事にするさ」


「その優しさを領民たちにも向けてはいかがでしょうか?」


「あいつらはこの俺に恥をかかせた。その報いを受けさせる」


 査問会でつるし上げられた際に、子作りデモで嘲笑されたのは絶対に忘れない。


 あの時はユリーシアも俺に恥を――恥を――あれ?


「天城、ユリーシアって今は何をしているんだ?」


「ユリーシア様ですか? 調べてみましょう」


 天城が調べると、ユリーシアは屋敷の中にいた。



「リアム様、酷い!」


「酷いのはお前だよ! デモの鎮圧を命令したのに、参加するとかふざけているのか!」


 ユリーシアを呼び出して話を聞くと、どうやら俺に不満を抱いているようだ。


 子作りデモには参加したが、アイザックの時には裏切らなかった。


 怖くて引きこもっていたらしい。


「みんな酷いわ。側室候補の私を無視するなんて。殺されると思って引きこもっていたのに」


「俺も忘れてた」


「リアム様の鬼!」


 こいつにもお仕置きが必要だが、ユリーシアは俺と帝国軍とのパイプ役でもある。


 処刑するのはためらわれる。


 そこで、俺はユリーシアに相応しい罰を思い付いた。


 ロゼッタに親衛隊を用意する話をしていた。


 あいつは軍人経験がないため、側に副官を置かないと親衛隊を組織できない。


 ユリーシアは、軍部にも兵器工場にも伝手がある。


 こいつも残念だが、優秀ではあるんだよ。


 普段からもっと有能さを見せて欲しいが、今は暇そうなのでロゼッタに預けることにした。


「それより、暇ならロゼッタの親衛隊設立の手伝いをしろ」


「え?」


「お前、こういうの得意だろ?」


「い、いえ、出来ますけど、私の立場ってリアム様の側室候補ですよね? 正妻候補のロゼッタ様のお手伝いは、気まずくないですか?」


「それを理解できる頭があるなら安心だな。十分な罰になるだろう」


「酷い! そんな思いつきみたいな罰なんて嫌です!」


「ロゼッタにこき使われろ! ついでに予算をくれてやるから、これで親衛隊を用意しろよ」


 俺のポケットマネーから予算を出してやろうと思ったのだが、いくら渡せばいいだろうか?


 とりあえず、戦艦で数十隻分くらい?


 それだけあれば十分だと思い、予算を渡すとユリーシアが驚いた顔をする。


「え? こんなにですか?」


「それだけあれば足りるだろ?」


「た、足りるというか、どれだけの規模を考えられているのか教えてくださいよ」


「使い切る感じで揃えろよ。数とか指定しないからさ。じゃ、後はよろしく」



 リアムが去った後。


 残されたユリーシアは頭を抱えてしまう。


「使い切れって、これだけの金額を使い切ったらどれだけの艦隊を揃えられると思っているのよ」


 ユリーシアの受け取った予算だが、とんでもない金額だった。


 下手したら一個艦隊を揃えられるような金額だ。


「桁が三つも四つも違うじゃない!?」


 これだけの規模の艦隊を揃えろと命令されても、ユリーシアにも難しい。


 リアムに丸投げされ、数万隻を用意したティアがおかしいのだ。


 ユリーシアの能力不足が問題ではない。


 むしろ、ユリーシアは並の軍人よりも優秀だ。


「と、とにかく、ロゼッタ様と相談して決めないと。そ、それに、どこかに艦艇や使用する兵器を注文する必要があるわね。第三兵器工場でいいかな? でも、これだけの規模でトライアルをしないと絶対に文句が出る」


 リアムが丸投げした予算が多すぎて、ユリーシアにはどうしたらいいのか分からなかった。


「大体、親衛隊なんて多くても数百隻でしょ? 自分の親衛隊を揃えるみたいに、ロゼッタ様の艦隊を揃えるとかおかしいわよ。これじゃあ、ロゼッタ様にかなりの武力が――もしかして、それが狙いなのかな?」


 自分の妻に大きな権限を渡そうとしているのか?


 ユリーシアはリアムの考えを予想する。


「いえ、もしかしたら、自分の電子マネーの桁が三つ消えているのを忘れていたとか? 流石にそれはないか。でも、リアム様がこんなことをするとは思えないし」


 本当に一個艦隊で一万隻を揃えたら、リアムに激怒されるかもしれない。


 だが、消極的に予算を大幅に残せば、それはそれで怒られるだろう。


 着服などしたら、自分だって消されるとユリーシアも理解している。


「考えるのよ。考えて、ユリーシア! ここで下手なことをすると、本当に忘れ去られてしまうわ。そうならないためにも何か名案を――あ、そうだ!」


 ロゼッタの親衛隊など、そもそも戦争に出ることは少ないだろう。


 最初はユリーシアも並か、やや劣る程度の質で揃え、外見だけを豪華にすればいいと考えていた。


 だが、それでは一万隻を超える規模が揃ってしまう。


 だから――中身も充実させればいい。


「精鋭で揃えれば一千隻くらいになるわね。それくらいなら、数的にはちょっと多いくらいになるわね。どうせ前線には出ないし、見た目も中身もこだわればいいわ」


 ロゼッタの親衛隊は、ロゼッタの身を守るために存在する。


 数よりも質。


 もしもの時には、ロゼッタを連れて逃げられれば十分である。


「ま、ロゼッタ様が拒否すれば他を考えればいいし、これでいいか」


 手早く計画書を作成し、ロゼッタに見せることにした。



 ロゼッタはユリーシアの計画書を見て困っていた。


「本当にこれで良かったのかしら?」


 リアムがロゼッタの親衛隊を揃えるために派遣したのは、まさかの側室候補であるユリーシアだった。


 ロゼッタも思うところはあるが、リアムの命令には逆らえない。


 また、士官学校を出ていない自分に、相談役が必要なのは事実だ。


 ユリーシアは優秀な軍人であり、確かに自分の補佐に相応しい。


「マリーはダーリンを怒らせて、しばらく騎士に戻れないから仕方ないわね」


 頼りのマリーだが、リアムを激怒させてしまい騎士資格を剥奪された。


 今はセリーナのもとで教育を受けている。


 計画書を見ていると、お世話をするシエルが何か考えていた。


 ロゼッタは、シエルが武闘派貴族であるエクスナー男爵の娘であるのを思い出す。


「シエル、何か思うところがあるの?」


「――申し上げてもよろしいのでしょうか?」


「構わないわ。私は貴女の意見が聞きたいの。私の親衛隊はどうすればいいかしら? ごめんなさい、漠然としすぎているわね」


 謝罪すると、シエルはロゼッタが親衛隊の扱いについて悩んでいると察したようだ。


 シエルの視線が鋭くなる。


「親衛隊に関してですが、奥方の親衛隊は多くても数百隻が精々です。あまりに大きくなれば、お家争いに発展する恐れがあります」


「そうね。軍はダーリンの下で管理されるべきだわ。私が大きすぎる力を持てば、争いの種になるわね」


 ロゼッタが意識せずとも、軍と親衛隊の間で争いが起きるかもしれない。


 あまりに規模が大きければ問題になる。


「ならば、親衛隊は三百隻程度として、残りは休暇と訓練以外に仕事を与えるべきです」


「仕事を?」


「ロゼッタ様、貴族たちには自分の身を守れない方たちも多いのです」


「理解しているわ。代わりに私に守れと言うの?」


「はい。伯爵であるリアム様では手の届かない雑事を代行するのはいかがでしょう? 規模の小さな争いは、ロゼッタ様でも片付けられるはずです」


 リアムの手伝いが出来ると聞いて、ロゼッタはシエルを褒めた。


「いいわね。ダーリンに持ち込まれる陳情は多いわ。全てを処理し切れていないと聞くし、雑事ぐらいは片付けてあげたいわね」


「では、そのために本部が必要ですね」


「基地まで用意するの?」


「当然です。軍とは別系統で動くことになりますから」


「ユリーシアに相談しておくわ」



 ロゼッタがユリーシアに相談しに向かうと、シエルはガッツポーズをした。


「よし! これで、ロゼッタ様に僅かばかりでも力が手に入るわ。今は小さくても、少数精鋭の艦隊が手に入るなら、多くの貴族を味方に出来る。いずれは、リアムが無視できない権力をロゼッタ様が得られるわ」


 シエルがロゼッタを支援した理由は、暴走するリアムを止めるためだ。


 そのために、ロゼッタには力を付けてもらう。


「いずれロゼッタ様も、リアムが悪い奴だって気付くはず。そうなったら、ロゼッタ様にリアムを止めてもらわないと」


 楽しみのために民を痛めつけるようなリアムだ。


 いずれはロゼッタも理解してくれる――そう、シエルは考えていた。


「待っていなさい、リアム――必ずあんたを止めてみせる。そして、お兄様の目を覚まさせてあげるわ!」



「――と、そんな感じでシエル様がロゼッタ様をそそのかしております」


 ロゼッタの親衛隊設立に、シエルが口出しをして良からぬ事を考えていた。


 即座にクナイが報告に来ているので、全て筒抜けである。


「馬鹿可愛いとはこのことだな」


「リアム様、本当にお許しになるのですか?」


 シエルの行動は俺への裏切り行為だが、せっかく見つけた鋼の精神を持つ女だ。


 この程度で潰していてはつまらない。


 ――だが、俺は油断して足をすくわれるつもりはない。


「シエルは許してやれ。それから、ロゼッタを呼び出せ」


「はっ!」


 クナイが俺の目の前から消えると、しばらくしてロゼッタがやって来る。


「ダーリン、私に何か用事かしら?」


 ニコニコと柔らかい雰囲気を出しているロゼッタを見ていると、少しはシエルを見習って俺の寝首をかくくらい計画しろと言いたくなってくる。


「親衛隊の件だ。シエルに言われて俺の雑用をするみたいだな」


「知っていたの?」


「当然だ。だが、その案は却下する」


「や、やっぱり駄目だった?」


 ロゼッタが俺の雑用係をしたいなら止めないが、シエルの計画に乗ってやるのは面白くない。


 悪いが邪魔をさせてもらおう。


 今のシエルはロゼッタを思い通りに動かせたと喜んでいるだろうが、こいつを手の平の上で転がすのは俺だ。


「お前がやりたいようにやれ。誰かに言われて決めるな。相談をしても、決めるのはお前だ。お前の親衛隊だぞ」


 とりあえず、ロゼッタの意思に任せることにした。


 それにこいつは軍人の教育を受けているが、幼年学校で少し受けただけ。


 本職ではないし、放っておいたら自滅するか無難に終わるはずだ。


 そんなロゼッタを見てヤキモキするシエルを――俺は見たい!


「私がしたいように?」


「相談してもいいが、鵜呑みにするのではなくお前が判断して決めろ。そうでないなら、計画の全てを却下する。分かったら行け」


 ロゼッタを部屋から追い出すと、クナイが俺の影から頭を出してきた。


「リアム様、よろしかったのですか?」


 ――正直、俺の電子マネーの表示は桁が三つも略算されているとか初耳だ。


 ちょっとロゼッタに予算を与えすぎたが、今更返せとは言えない。


 ここは意地でも見栄を張る場面だ。


「あいつの好きにさせる。ロゼッタやシエルが、どう動くか見物だな」


「ユリーシア様はよろしいのですか?」


「あいつはどうせ残念に終わるし、それを見て楽しむからどうでもいいや」


 ピーキーなニアスとは違って、ユリーシアはこう――平均的に残念だからな。


「それよりも、さっさと首都星に戻って修行を終わらせたい。あと四年で終わるのに、こんなことで足止めを食うとは思わなかった」


 さっさと修行期間を終えて、俺は自由に悪徳領主ライフを送るのだ。


 すると、首都星にいたウォーレスから緊急の通信が入る。


『た、大変だ、リアム!』


「何だ、ウォーレスか」


『落ち着いている場合じゃないよ! 大変なんだよ!』


「お前は落ち着いた方がいいと思うけどな。それで何があった?」


『覇王国が帝国に宣戦布告してきた!』


「あ、そう」


 何を慌てているのかと思えば、俺のいる領地とは無関係な星間国家が帝国に喧嘩を売ってきただけか。


 もっとマシな報告をしてきて欲しいものだ。


『何で落ち着いていられるんだよ!』


「興味がない。それより、俺はそっちに戻ってさっさと修行を終わらせる」


『え? リアム、戦争に参加しないの? 出ると思ったのに』


「面倒だから嫌だ。さっさと修行を終わらせる」


 何でウォーレスは、俺が戦争に出ると思っていたのだろうか?


ブライアン(´;ω;`)「ついにこの日が来ました。――リアム様のご活躍が書籍になります。書籍版で更なる活躍を見せるリアム様にご期待ください。今日は本当に幸いです!」


ブライアン(´;ω;`)「そしていつもの辛いお知らせですが、七章は明日でエピローグとなっております」

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[一言] ロゼッタがかわいそうで。。
[一言] 現在より生活が不便で日常生活が困難なほどの差別があった過去の時代を「昔はよかった」という現代人とは真逆でいいですね
[良い点] ◯◯したのに実は~の展開は王道ですが外せません。 (今回)増税したのに領民は名君と持ち上げ信じられる。 [一言] 増税が再フォーカス!思ってた以上に領民の反応が書かれてた。
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