近づく絶望
太陽の暖かい日差しが僕の部屋に差し込み、気持ちよく朝を迎えた。
いい匂いがした。
この匂いは、僕が大好きなケチャップライスの匂いだ。
ワクワクしながら食卓に着くと、早速お母さんが朝ごはんを、持ってきてくれた。
予想は見事的中し僕の前にはケチャップライスが置かれた。
僕は一気に食らいついた。一生懸命食べた。誰も取るわけもないが、手が勝手に動いた。
ご飯を食べ終えると、運動でもしようと思い外に出た。外は快晴で、運動日和だった。
準備運動を終えてマラソンでもしようかと思ったとき、なにやら村がざわつき始めた。
ドン‼︎
何か巨大な足音がした。
ドン‼︎
足音は近づいてきている。
なにが起こってるんだと考えていた時、ひとりの村人が大声で叫んだ。
「レッドドラゴンだ‼︎村喰いが来たぞー‼︎」
村喰い、それは本の中にしかいないもの、実際の世界にはそんなものいるわけがない。きっと僕らを脅かそうとしているに違いないと僕は思った。
しかし、みんな慌てていた。中にはただ祈っている人もいた。
ドン‼︎
僕はあるものを目にした。
それは、大きな赤い山だった。しかし、その山には翼が生えていた。
ドン‼︎
山には顔が付いていた。
レッドドラゴンは実在したのた だ。
ドン‼︎
レッドドラゴンは止まった。
村人はみな馬車や袋に荷物を詰め込んで逃げようとしている。
お母さんも準備をしている。お母さんの顔は見たことのないくらい怯えた顔だった。
僕も逃げる準備を始めた。必死に袋に食料を詰め込んだ。
バサッ‼︎
レッドドラゴンは大きく翼を広げた。その瞬間、こちらに突っ込んで来た。
ドーン‼︎
窓から外を見ると、村の半分以上は地面ごとえぐり取られていた。上を見上げると、バリバリという音が聞こえる。
そう、レッドドラゴンは一瞬で村の半分を喰らっていたのだ。
僕は動けなくなった。腰が抜けてしまったのだ。
______ゴクン
奴は村を飲み込んだ。そして大きく口を開いた。
二口目が降ってきた。
______バキバキバキバキバキ‼︎