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僕らの“仮定”恋愛劇  作者: 高橋 香織
僕らの“かもしれない”告白
3/3

第二幕

 “かもしれない”というなんともあやふやな告白をされ、僕はどうしようかと悩んでいた。人生初の告白で、こんな滅多になさそうなものをされるなんて。心の準備が出来てたとしても確実に悩む案件じゃなかろうかと何も言わず考えた。

 僕の思考の回転を止めたのも、また藤原さんだった。

「まあ、“かもしれない”なので深く考えずお付き合いしてくれれば嬉しかったのですが。そうですよね、悩ませちゃいますよねー」

 なんとも軽い調子な彼女の言葉に違和感を覚える。告白はもしかして保険的な何かだったのかと疑ったのがバレたのか、彼女は唐突に首を振る。

「とは言えど悪巫山戯とか良かれと思って、みたいなものじゃないですよ。私なりに誠意を込めた告白でしたので、どうぞご一考のほどお願いしますね」

 眠そうな彼女の顔が僅かに笑む。その笑みを見て、先ほどの考えは最低だったかもしれないと思い返した。

「明日から程ほどに話しかけますので、良ければ反応ください。それじゃあまた明日会いましょうね」

 彼女は自分だけ持ってきていた鞄を握って、早々にその場を去っていってしまった。僕は彼女に何一言声も掛けず、ただ告白を聞いただけだった。


 ということを昼休み漸く機嫌の戻った和春に説明すると、なんとも言えぬ表情をしていた。そう、本当に。なんとも言えぬ具合の変な表情だ。

「お前、それ結構惚れられてね? 可笑しくね? クラスで地味男子貫き通してるお前が告られて俺が告られないの可笑しくね??」

 これまた反応に困ることを。僕は少し悩み、言葉を纏めてから口を開いた。

「人柄かな」

「ちっげーよ!!」

 間を置かない返答に、頭に“全否定”という文字が過る。

「いや違くねーのかもしれないけど! そうじゃないって!!

 確かにお前はいいやつだ。でも地味だろ!? 目立たないだろ!!」

 褒められているのか貶されているのか。僕は判断に悩んだけど、悩むだけ無駄かと思って考えるのをやめた。

「和春」

「あん?」

 僕が呼べばなんだろうと言う顔で見てくる。目つきの悪い顔だけれど、こんな顔はまだ子供っぽい。

「目立ちすぎるやつは敬遠されるよ」

 ピシッと音を立てるように硬直した和春。尊敬される目立ち方ならまだしも、和春の場合は悪目立ちというものだからどうしようもない。

 僕の言葉を理解したらしく和春は机の上で潰れた。僕は何も言わずに、机の中から薄い雑誌を取り出した。面倒になったので放っておくことにする。

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