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Prelude 1小節目
窓からの日の光が今にも消えようとしている。
今まで生きてきたこの長い年月で、俺は今まで何回この景色を見て物思いにふけたのだろうか。
当たり前になったこの景色。
当たり前になった太陽は沈むということ。
そんなことを眺めていると、彼ら人間の愚かさがよく分かる気がする。
己の全ての願いを全て叶えようとし、目的を果たすためならなんでもしてしまう人間の愚かさ。
俺はそのような愚かな人間に俺のある能力を使ってきた。その度に人間はなんて愚かなんだろうと思ってきたのだ。
俺は人間のいう「天使」という生き物だ。
俺の能力は、願いを叶える代わりに、そいつの大切なものの3割を奪うというものだ。また、俺は普通に人間として現実に存在し、人間としてユーマという名を持つ。
これから語るのは、俺が出会った願いに囚われた人々、「祈者」との話である。
全く、俺はなんて愚かなんだろう。