入学デビューへのチュートリアル
眼が覚めると美少女が僕の布団に居た!
そんなことあったらいいなぁ。
寝惚けながら眼を開くと、なんと!そこには!天井だぁ!
まぁ、充分な位にわかっていたよそれくらい、僕だって馬鹿じゃない。
いいじゃないか、ちょっとしたファンタスティックな展開を望んでもね。なんて毎日が僕の日課だ。
今日の朝は寝覚めが悪かった。
理由は二つある。
一つ目が、先程まで見ていた夢がアレダ。「それ見たことか!この性欲のるつぼ!」と難解な罵りがあっても悪意が無いほどに、悪夢なくとも悪い夢のように思える。
二つ目は、ちゃんちゃら可笑しいが、今日が始まってしまったことだ。起きると動かなければならないんだよね。とても面倒なのだ。
まぁ、そんな今日が始まってしまった僕はいつもよりもいつも通りに何ら変わらぬ日常が始まるのだ。
とでも思ったかい?んん?
何てったって今日は入学デビューの日である。
家の中ではとってもダルそうに、「明日学校かよ。マジで疲れるわー。」といった感じで過ごしているが、それは表の顔だ。
内心は心臓が激しく脈打ち、今日の夢とのダブルパンチで鼻血が止まらない。血が昇って目眩もしてきた。
思えば、昨晩はとても調子に乗っていた。
教室の入り方を考えていた。転校生でもないのに、自前のホワイトボードに名前を至極乱暴に書いたり、制服を洗ってアイロンして洗っての作業を繰り返したおかげでデカめの制服はピッタリフィットしている、今だって無意味に15分も歯を磨く棒状のアレで舌だけをシャコシャコしているのは横から見れば奇怪、正面から見ても変態にしか見えないだろうけど。
ってヤバいヤバい。
そうこうしている間に、登校時間だ。
学校指定の装備品(ピッタリフィット制服)を不恰好に着用しながら階段を重力に身を任せ下ると、そこには、美少女が落ちていた。
いやはや、実際に願いが突然叶うとびびってどうにもならないんだよね。うんうん。テンションさえ上げてけば大丈夫かな!
Questions.ぐーすかと寝ている彼女をどうすればいいのか?
Answers.落ちた物は三秒ルールのため、迅速に拾って食べます。
やるこたぁ1つ。欲望のおもむくままに!
「いただきま~す!!!」
ムササビのように飛びかかった。
だが、刹那ソイツの顔を見て、速やかに居た位置へと足の握力で体制を戻した。
ソイツは今の振動で起きたのか、こちらを見て、「えへへ」と笑い寝惚けながら眼を擦った。
「おい、起きろよ本陣。おまえの親友が曲がり角でぶつかってイヤンなイベントが起きずに、重要なフラグを立てずに可哀想な人になっちまうぞ。ちなみにトースターと8枚切りパンを抱えているのに。」
僕の説得も虚しく本陣はのっそりと顔を上げて眼を開くと「それは大変だ!」と曇天の空から降る一筋の光りの如く鋭く言った。
間髪入れず、「おまえは変態だ!」と近所迷惑レベルのデジベルで怒号を叫んだ。
超恥ずかしい。
まぁ、ここまでは毎日の恒例行事みたいなもので、お決まりな展開だった。ここまでの行動は全て見切っている。
だが、今日はなんだ。本陣もアレだ。やっぱり緊張するものなのだろう。
女子高生のボディーに釣り合わないピッカピカの一年生が背負う赤色のランドセルで来ちゃっているんだもの。