終点。
〔終点はキミの笑顔〕
すべての始まりが、終わりで。
終わった物語は、進むことはない。
けれども、また物語は始まって―――。
「彼方ーっ」
「ふご」
声が耳に聞こえた。
目覚めには、とてもいい声だ。
「ハル・・・カ?」
「よっす。元気かー?」
彼女は満面の笑顔で背中を叩いた。
俺は寝ぼけながら、それに答えた。
彼女は変わった。
いや、変わってくれたんだ。
―――。
届けっ!!!
彼女の名前を叫んで、必死に手を伸ばして。
俺の手は、ちゃんと彼女の手を捕らえていた。
直後、俺の腕は悲鳴を上げるように体重を支えた。
軋む腕。彼女の小柄な体躯を支えるのにも、適していなかった。
「離してっ!!」
「離すかよ!!」
叫ぶハルカの手は、しっかりと俺の手を握っている。
本当は死にたくなかったんじゃねぇか。
怖かったんじゃねぇか。
なのになんで―――。
「ボクが生きてたって、いいことなんて何もないんだ!」
「何でそんなコト言ってんだ!ハルカは生きたいんだろ!」
「そんな事、ないっ―――」
彼女の手が、さらに強く握られる。
とっとと引き上げないと、俺の手もヤバい。
「ボクは死にたいんだよ!!」
「じゃあ何でハルカは俺を好きになったんだ!? 死にたくなかったからじゃないのか!?
俺に助けを求めたんじゃないのかよ!! ―――俺だってハルカが好きだ!!
好きなヤツを死なせるわけにはいかねぇんだよ!!!」
「―――っ」
必死の叫びに、ハルカの顔は一気に紅潮した。
クソッ、俺まで恥ずかしくなってくるじゃねーか!
俺は右手に精一杯力を込める。
「今・・・助けてやるから!」
「彼方―――」
彼女は強く、彼方の手を握り返した。
その思いに、答えるかのように。
「それにしても、"好きなやつを死なせるわけには行かないー"かぁー。熱いなぁ」
「言うな!叫んだ俺が一番恥ずいんだぞ!!」
「分かってるって。―――あ、ほら。これ」
ハルカは鞄の中から何かを取り出すと、彼方へと渡した。
なんだよこれ、と彼方が言うと
「助けてくれたお礼。いい曲だよ?」
と言って、彼女は歌を口ずさみ始めた。
蒼空の向こうに 虹が見える
rainbow and rainbow
虹と名のつく 世界の材料
キミに見えたかな?
虹が大空を裂いて
キレイに キレイに 掛けていくよ
その姿はまるで 橋のよう
虹の架け橋が ボクたちと共に
蒼空・碧空に染めていく
虹は消えない 消えることはないから
「いいかどうかは全部聞いてからだなー」
「えー?ボクの歌、ヘタだった?」
「さぁなー」
軽い対応をすると、彼女はポカポカと俺を叩いてきた。
彼女らしい、かわいらしい笑顔で。
俺は彼女を、そっと抱き寄せた。
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