表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

最初

人には誰しも運命の相手がいる。

それは俗にゆう運命の赤い糸で繋がっていてるが、決して目に見えるものではない。

普通の人には。



「あ、結婚式だぁ!私も早く結婚したぁい!」


すれ違った女性の言葉に釣られてそちらを見ると、道路沿いの教会から

祝福する声と共に幸せそうな新郎新婦の姿。

フラワーシャワーを浴びながらゆっくりと階段を降りていく二人のそれぞれの左手の小指に視線を移す。

普通の人には見えない赤い糸。

しかし僕の目には、赤い糸が絡みつき何処かへと伸びているのが見えてしまった。


「・・・繋がっていない・・・」


あんなに幸せそうに寄り添っているのに、二人は運命の赤い糸で繋がっていない。


僕は物心つく頃から、人々の左手の小指に絡みつく赤い糸が見えていた。

最初は皆見えているものだと思っていたソレの話しを母親にした時は気でも触れたのかと

病院に連れて行かれ、化物でも見るかのような視線を送られた。

父親は僕のことを気味が悪いと言い、離れに住むよう命ぜられた。


人と違うことがこんなにも罪深いのかと、最初は絶望し涙する毎日。

しかし慣れとは怖いもので、日常となってしまえばそれほど気になるものでもなく

両親と接しなければ苦ではないし、見えることを誰にも伝えなければ難なく生活することが出来た。

赤い糸が繋がっていない夫婦、カップル。最初は見るのも辛い気持ちになったが今では何とも思わなくなり、世の中運命の相手と寄り添えることの方が奇跡なのだと知った。


ふと自分の小指に視線を落とす。

赤い糸が絡みつくのは見えても、どこに伸びているのかはぼやけて見えない。

どうやら自分の糸は見えないらしい。

まぁ見えた所でどうすることもしないと思うけど。


きっと僕はこうやって死ぬまで一人で生きていくんだろう、漠然とそう思いながら参考書に視線を落とした。

歩きながら本を読むなんて危ないと思いつつ、人が視界に入らないので赤い糸も見なくて済む。

視野いっぱいに広がる赤い糸。いつか見えなくなる日が来るのだろうか・・・。

そんなことを思いながら今日も一人帰路につく。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ