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「山中様!神崎様!どちらへ行かれるんですか?」
俺と同じか、それより低いぐらいの背の、可愛い子が有紀の横に来た。
神崎様って、奏汰のことだよね?・・そっか、奏汰も人気なんだ。かっこいいもんね・・。
有紀が困ったように笑いながら学食に行くんだよ、って答えてた。
その子はそうなんですか。って行った後俺を見る。ただ見るんじゃなくて、睨みつけるように。
視線に気づいて、無意識に体が強張る。有紀は気づいて無いみたいで、余所見してる。
いかにも悪意が篭ったその視線が怖くて、有紀に縋りたくなる。
でも、いつまでも有紀に頼ってばっかりじゃ駄目だ。
俺が取り乱したときも、ずっと心配してくれて。俺は迷惑かけるだけで、なにも出来ない。
せめて、自分のことはきちんと自分で処理できるように、ならないと。
って考えてる間もずっと睨まれてて、吐き気がしてきた。
悪意を直に向けられるのは、本当に、苦手。
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