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「あれ?こんな子クラスに居ったっけか?」
「……」
「ん?」
その人は席に向かうときに俺のほうを見てそういった。いきなり話しかけられて言葉が出ない。
「…ぇ、ぁ」
「どうしたん?」
「…あ、の」
「うん」
その人は俺が声を搾り出しているのをゆっくりと待ってくれる。
「この前、転校、し、てきて…」
「あー!知ってる知ってる!俺その時寝ててんな!そっか、転校生かー!」
「…ぅん」
「俺、神崎奏汰ゆうねん!気軽に奏汰って呼んでな」
「俺、は…愛川、澪梓…です」
「澪梓、って呼んでもいい?」
「うん…」
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