16-3
たつにいは冷蔵庫から冷ご飯を取り出して、それを油をひいたフライパンにドサッと入れる。
てか、此処って有紀の部屋なのに勝手に材料使っていいのかな…?
…まあ、たつにいだし、いいか。
なんて、意味不明な答えで納得する。
そんなこと考えてる間も、たつにいはかっこよく料理してる。
ハムとか、ウインナーとか、卵とか、ネギとか、えびとか、貝とか
いろいろな種類の具材を何の戸惑いもなく入れてく。
たつにいの料理は、御袋の味でとても美味しいんだけど、味付けとかはそのときの気分っていう
アバウトな料理なんだ。それでも毎回美味しいから吃驚。
そんなこと考えてると、いつの間にかもう完成したらしい。
「ほら、食え」
「いただきます」
俺は皿に乗った熱々の焼飯にスプーンを通す。
「…おいひ~。」
「ふはっ、そりゃ良かった」
たつにいは少し照れくさそうに笑った。
俺は小食なほうだけど、3日も食べてないからか、それともたつにいの料理が美味しいからか、
全部の焼飯を食べきった。
「ご馳走様でした~」
「お粗末さまでした」
たつにいは俺が全部食べたのを見て、嬉しそうに笑いながら俺の頭を撫でてくれた。
俺はその大きな手に擦り寄る。すると、たつにいはまた笑いながら2,3回撫でて、
食器を持ってキッチンに向かった。
「それじゃ、そろそろ行くか。」
「ん。」
俺はそういってたつにいと一緒に部屋を出る。
16御袋の味 終