表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロのココロ  作者: すぴ
可愛い弟
53/84

15


*15 可愛い弟



+++達紀side+++


澪梓を抱きかかえて、そこに居る奴らを見た。

悔しそうに唇を噛み締め拳を作ってる有紀。

焦りと困惑の色を含んだ目を俺に向けてくる副会長の三代。

何が起きたのか分かっていないのか、呆然と此方を見ているこの事件の犯人の鳴海。


俺はチッと舌打ちをしてから鳴海を睨んだ。

鳴海はそれで正気に戻ったのか、ハッとして俺を俺に焦点を合わせた。



「てめぇ、澪梓に何した。」

「……」

「説明することも出来ねえのか、屑が。」

「……」

「はぁ…話は後だ。とりあえず澪梓をどうにかしないと。有紀、お前の部屋連れてくぞ」

「…あ、うん」


俺と有紀が学食を出ようとすると、三代が遠慮がちに口を開いた。

「あの…。その、愛川くんは過去に何か…あったんですか?

 例えば、襲われたことがある、とか…」

遠慮がちに開いた口に対して出てきた言葉は遠慮の欠片もない。


「はっ、てめぇに話してやる義理はねーよ」


俺はそう吐き捨てて有紀を引き連れ学食を後にした。



授業中だから人目につかなくて良かった。

そんなことを思いながら有紀の部屋に入り、俺の腕の中で規則正しく寝息をうつ

澪梓を、そっとベッドへ寝かせた。


そこで、有紀に話を聞いた。

電話で呼ばれたときは、ただ「澪梓が大変だから!早く学食に!」という声とともに、

後ろで泣き叫ぶ澪梓の声が聞こえただけで、何が起きているのかまったく分からなかったのだ。


有紀に聞く話によると、会長が澪梓を部屋に連れ込み犯そうとしたとか。

それだけじゃ満足せず澪梓に向かって、淫乱やらなんやら言ったのだそうだ。


俺はそれを聞いて一気に怒りが沸騰した。なに言ってくれてんだ、あの野郎…。

今すぐ殺しに行こう。会長としてはまあまあ出来はよかったが、

澪梓に手を出したなら、そんなこと関係ない。今すぐ殺しに行こう。



そう思い椅子を立った時に、澪梓の眠る寝室から呻き声が聞こえた。


俺と有紀はすぐに寝室へ向かった。

すると、苦しそうに眉を寄せた澪梓が、痛い、怖い、寂しい、助けて

と必死にそう言っていた。

俺は澪梓に顔を寄せて、安心させるように大丈夫だ、と声を掛ける。


すると、眉を寄せている顔が一変、助けを請うように涙を流しながら

助けて、と必死に訴えかけてきた。


俺はそれを見て、大丈夫だ、澪梓…と囁きながら澪梓を抱きしめた。


そしたら澪梓が俺を抱きしめながら、『怖かった。寂しかった。助けてくれて、有難う…』

と一筋の涙を流しながら俺にそういった。

俺はそれを聞くなり、澪梓をさらに抱きしめた。

すると澪梓は優しく微笑み『有難う、有難う---たつにい。』

と呟き、また規則正しく寝息をうった。



有紀と俺は安心して、はぁと息を吐きだす。

鳴海を殺すのはまた今度。今はベッドで寝ている

可愛い大事な弟を見守ることが先決だ…。





15可愛い弟 終

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ