13-7
「えっ」
鳴海先輩は、そう言うなり俺の腕を掴んでズカズカと歩き出す。
俺はビックリしながらも、引っ張られてる体勢だから転ばないように必死になって着いていく。
有紀は「ちょ!」と言いながら追いかけてくる。理玖先輩はクツクツと笑いながら俺達を眺めてる。
「なにしてんですか!」
有紀が声を荒げてそう言いながら、
俺達に追いついて、俺が鳴海先輩に掴まれてる方の逆の手をグイッと掴む。
鳴海先輩はそんなことお構いなしに前方に足を進める。
それを有紀が腕を掴んで止める。
俺は2人の間で、腕を左右に引っ張られた状態で突っ立ってる。
グイグイと左右から腕を引っ張られるもんだから、俺の腕はヒリヒリと痛む。
「おい有紀、離せ」
「先輩が離してください」
「お前が離せ」
「先輩が離してください」
何回もそのやり取りを繰り返しながらも、まだ俺の腕を引っ張る2人。
もう、俺の腕は限界だ。
「ふ、たりともっ、離してくだ、さいっ!」
俺は腕の痛みに耐え切れなくて涙目になりながらそう叫んで有紀と鳴海先輩を交互に睨む。
「ごめん…」
「…」
有紀は謝るなり腕を離した。鳴海先輩は、無言で腕を放した。
やっと開放された俺の腕は、重力に逆らわずだらんと垂れた。
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