13-5
「澪梓は、遠慮しないで良いんだからな。何かあったら俺が守るし。」
「…うん」
「なに、今の間は。」
「大丈夫、その分2人の時はいつも以上にくっつくから」
そういうと、有紀がまたクツクツと笑う。
「まあ、そういう事ならいいけどね」
いいのかよ。俺も可笑しくて笑う。
そんなことをしてると、料理が来た。
俺は料理を並べてくれた人に、
「あり、がとうご、ざいます」
って、スムーズにとは行かなかったけどお礼を言った。
すると、その人は一瞬驚いたように目を丸め、後に頬をほんのりと染めながら
「ありがとうございます。」と優しい声を残して厨房に消えた。
「…澪梓、誰彼構わず唆し過ぎ。」
有紀が飽きれた様に俺に言う。
「え?」
「…まぁ、いいや。とりあえず、食べよ。」
「うんっ」
実は、目の前に大好物のオムライスがあって、我慢するのがしんどかったところだ。
うずうずしてた手を一気に動かしてスプーンを掴んでオムライスに突き刺す。
有紀はそんな俺を楽しそうに眺めながら、自分のご飯に手をつける。
「おいひぃ~」
うまい!美味すぎる!! 上に乗っかってる卵はとろとろしてて、
その上のデミグラスソースがなんともいえない!
「こんな美味しいオムライス、初めて食べた…」
「そんなに美味しい?」
「うんっ!」
「一口ちょーだい?」
「いいよ、はい。あーん」
「んー」
スプーンに一口台乗せて、有紀の口に持っていく。
有紀もそれに答えて口を開く。
その瞬間、周りから息を呑む音が聞こえた。
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