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『山中様が来てる!』
『めずらしー…』
『てか、あの横の子って今朝の新入生じゃない?』
『そういえば…』
『かわいー』
『けど、山中様の手を掴むなんて…』
『新入早々山中様に近づくなんて許せない。』
『そういえば、始業式でも山中様と一緒に居たよね。』
『それに、鳴海様と三代様とも…』
『図々しい…!』
陰口にもならないほどの声で、俺に悪意を込めた言葉が飛び交う。
俺は、その中の1人が発した「山中様の手を掴むなんて」と言う言葉に、
有紀の手首を掴んでいたことを思い出して、急いで離す。
有紀は不満げに俺を見る。俺は気にしないフリをする。
「それじゃあ、あそこに座ろ」
ちょっと不貞腐れたように有紀が1つの席を指差す。
そこは、周りを柱で囲まれて、あまり人目に付かない所だ。
なんだかんだいって、有紀は気が利く。
「うん」
そういって、少し前を歩く有紀を追いかける。
そのときも周りが色々言ってきて、有紀が周りを睨む。
すると、周りは静かになった。
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