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「駄目!澪梓、帰るぞ」
「…えー」
「えーじゃない!部屋で休め!」
「……」
初日から早退は嫌だ。ちゃんと授業を受けたい。
まあ、今既に授業に出てないけど。
「駄目だって。」
「有紀…」
「…駄目」
「…ゆき、」
「…だ、め。」
「……ゆきぃ」
「……」
「……」
「……ああああぁぁ!!いいよ!!けど、5時限目までここで寝とけ!!
5時限目になっても熱下がんなかったら帰るからな!」
んー、なんかそれ早退と同じような感じがするけど…。
でもまあ、5時限目までに熱が下がってれば授業に出れるなら、今から寮に帰るよりはマシか。
「わか、た。」
「うし、寝ろ寝ろ。」
有紀は俺をベッドにグイグイと押してくる。
俺はそのままベッドに倒れこんだ。
「あ、ごめん」
「ぅー…」
「ごめんってー」
そう言いながら有紀は俺の頭をよしよしと撫でる。
その手の温かさが心地よくて、俺の瞼はだんだんと重くなっていく。
「おやすみ…」
有紀はそういって俺の額にチュッと軽くキスをした。
いつもならとても恥かしいだろうけど、今はそれも心地よくて俺はまた眠りに落ちた。
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