12-1
*12 胸騒ぎ
村田先生と挨拶をして別れてから、どれぐらいの時間がたっただろう。
今俺は見たことの無い廊下を1人 彷徨っている。つまり、道に迷っている。
なんせ、寝ている間に運ばれたってことで道を覚えているはずもなく。
学園の説明書に地図が載っていて、それを一応読んで大体の道は覚えていたはずだけど…。
どうしても保健室から教室への帰り道が思い出せない。
とりあえず、俺は今2階に居る。それは分かる。
保健室が2階にあることは覚えているから。
それで、2年生の教室は4階にあるから今俺は4階を目指してるんだけど…。
4階に上がる為の階段が見当たらない。
あ、この学園はエレベーターもあるんだっけ。
まあどっちにしろ、4階に行く手段が無いのだ。
一度は保健室に戻ろうと思ったけど、村田先生は忙しいだろうし。
それに来た道を覚えていない。 なんか今は全然頭が回らない。
寝起きだからかな?
此処で止まっておく事も可能だけど、知らない人に見つけられて案内されるのも御免だ。
だから俺は1人2階を彷徨ってる。
んー、どうしよう。本当に。 何気なくポケットに手を突っ込んでみたら、何かが手に当たった。
「ん、なんだ?」
手に当たった物を掴んで出すと、携帯があった。
「え…。」
なんで携帯のことを忘れてたんだ俺。
やっぱりなんか変だ。頭が回らない。いや、頭は回ってるか。ふらふらするもん。
や、なんか違うか? ああ、頭じゃなくて目が回ってるんだ。
1人で意味不明なことを考えながら、有紀にメールした
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20××/ 4/12 11:34
To:有紀
sub:迷った。
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有紀、道に迷った。
ここ、どこだろう。
澪梓
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そう送って、1分もしない内に有紀からメールが来た
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