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ゼロのココロ  作者: すぴ
(10-1) 有紀side
32/84

(10-2)

「いい加減にしろよっ!!」


俺は、耐え切れなくなってそう怒鳴った。

前にある澪梓の背中がビクッと反応した。


でも、その背中がとても悲しそうで、寂しそうだったので俺は安心させるように、

澪梓の背中をゆっくりと抱きしめた。



「澪梓?大丈夫か?」

そう言って、先ほどの怒鳴り声は感じさせないように、優しく、優しく声を掛けた。



「だい、じょぶ…」


澪梓はそういったけど、全然大丈夫そうじゃない。

それに、澪梓の肩に回した腕に、小さな雫が落ちたから。



「あいつ等の言う事なんて、気にすんな。 俺が守ってやるから。 --だから、泣くな」


そう、澪梓は泣いていた。傷ついたって事だ。

澪梓は、泣いていることに気づいていなかったのか、驚いたように、自分の目に手を持って行った。



「ん、ごめ、ん。だいじょぶ。  ありがと、有紀。」

「いや、俺こそごめんな。さっさと止めとけばよかったのに。」

「うう、ん。有紀は、全然悪く、ない…」


いや、俺が悪い。さっさと止めて置けばよかったのだ。

なんて俺はこんな無力なんだ。


泣いたから眠くなったのか、澪梓が腕に掛けてくる体重が段々増えていく。




眠り堕ちる寸前に、


「せん、せ。」

「あ、ああ、何だ。」

「その式、答え… S(2)=4/3…で、す…」


そう、澪梓は黒板の式の答えを呟いた。

暗算したと言うことだ。



その答えを聞いて、田中が悔しそうに

正解を認めた。




俺は、澪梓が眠ったのを確認して、周囲を睨みつけ、澪梓を抱いたまま保健室に向かった。




有紀side 終

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