10-3
「いい加減にしろよっ!!」
後ろで怒鳴り声が聞こえた。
有紀が怒った声だ。
有紀の怒鳴り声で、さっきまでクスクス笑ってた人達も、ニヤニヤしてた先生も、
一気に静かになった。
「澪梓?大丈夫か?」
有紀は、後ろから俺を抱きしめる。
「だい、じょぶ…」
もう少しで堕ちそうだったけど、大丈夫。有紀が助けてくれた。
「あいつ等の言う事なんて、気にすんな。 俺が守ってやるから。 --だから、泣くな」
え、俺泣いてる? そう思って、目に手を持って行った。
ああ、泣いてる。俺泣いてる。
有紀が離れてくって考えたからかな、
きっとそうだ。今考えても胸が張り裂けそうになるもん。
「ん、ごめ、ん。だいじょぶ。 ありがと、有紀。」
「いや、俺こそごめんな。さっさと止めとけばよかったのに。」
「うう、ん。有紀は、全然悪く、ない…」
ああ、泣いたからか、眠くなってきた。瞼が重い…。
最後に、これを言っておかないと…。
「せん、せ。」
「あ、ああ、何だ。」
「その式、答え… S(2)=4/3…で、す…」
それを伝えて、有紀の腕の中で、先生の悔しそうな声を聞きながら俺の意識はブラックアウトした。
---『せ、正解だ…』
10先生の嫌がらせ 終